具体的には家の中で奇声を発したり、「俺には神の声が聞こえるんだ!だから俺の言葉は神と同じなんだ!だから俺の言うことには絶対逆らうなよ!!」と言いながら家の中で暴れたりした。最初は僕も何とか止めようとしたが、ある時ふいに「あ、もう無理だ」と思い、それから兄貴とは一切喋らなくなった。
家の中ですれちがっても無視した。なるべく顔を見ないように、目をそらした。顔を見なければ、存在感は感じない。飯は自分の部屋で食べている。
表面上は、無関心による平穏が流れている。だが、兄貴の中にはどんどん鬱憤と鬱屈が溜まっているのだと思う。
でもどうしようもない。話を聞いたって、暴れるだけなのだ。
寝ているときに、兄貴が殺しに来るんじゃないかと、割と本気で思っている。
そっと自分の部屋のドアを開いて、隠し持っていた金属バットか斧を、僕の顔面に思いっきり振り落とすという想像が、いつも頭の中を駆け巡る。
自分の顔面の肉がグチャグチャになってしまうという恐怖で、いつも眠れなくなる。
母親に、自分の部屋に鍵をかけたいと言った。馬鹿なことを言うなという反応。
「何で鍵をかけたいなんて思ったの?」
「いや、兄貴が夜、殺しに来るんじゃないかと思って」僕は素直に、出来るだけ素直に言った。
「馬鹿なこというな!」母親は怒った。でも僕は知っているよお母さん。お母さんも怖いんだろ?
お母さんも、自分が殺されるかもしれないという恐怖があるんだろ?
結局鍵はかけていないけど、本当に怖くてしょうがない。一人暮らしする金もない。
解決策があれば教えて欲しい。僕は死にたくない。
ヒント:正当防衛
ヒント:鍵をかける場所。 これなら安全だし、ひとつで済む。