1~3巻くらいが非常に秀逸。
44歳まで、建築会社で現場作業をつづけて、結婚もせず友達もおらず職場でもぱっとしない、みたいな主人公が、
44歳の誕生日、だれにも祝ってもらえず、一人で居酒屋でなんこつ揚げをご飯にかけて食べながら涙するんだ。
それまで無為に過ごしてきてしまった、という焦り、不安、苦しさ・・・。
そして、その主人公は、「自分は、人望が、欲しい!」とみずからの心の底の願いに気づき、不器用ながらも
今までの殻を破るような行動を次々としていく。「自分が中心になる」ことの喜びを知る。
最近の漫画だと、「アイアムアヒーロー」って漫画の1巻あたりでも、
似たような感想をもった。
売れない漫画家(の卵)で、ずっと他の漫画家のアシスタントを続けて36歳、みたいな主人公が、漫画を持ち込んだ先の編集者にバカにされた
帰り道、「ヒーローにはなれないけど、せめて自分の人生くらい、自分が主人公になりたいんだ」と叫ぶ。
必死の心の叫び。
自然とこういう漫画に惹かれてしまうのは、自分も似たような「飢え」をもっているからじゃないかと思う。
他人に使われ振り回される人生じゃなくて、自分で自分の人生をコントロールしたいんだ!という気持ち。
それがわかっていながら、日々のそれなりに安定している暮らしがあって、そこから飛び出す勇気を持てない現実。
でも、自分でもわかってる。
飛び出して掴んだものには、きっと流されて手に入ったものとは違う何かがあるんだ。
言ったらなんだけど あれは精神病患者の物語だぞ。 黒沢の狂った突飛な行動は要するに あそこまでしないと苦しくて生きていけないぐらいに 脳の何かの分泌物が不足するようになって...