2010-11-10

淡い思い出

中学校の同級生が結婚した。

奴とは高校の頃に一度だけ、ぎこちないデートをしたことがある。

雨の日だったと思う。誘われて行ったのに、相手はまだついておらず、映画館ロビーで待ちぼうけ。

正面玄関に行ったほうがいいか、と思ってエレベーターの前に立つと、開いた先に雨でベタベタになった奴がそこにおり、

私のまな板みたいな胸を一瞥して言い放った。

「お前、もうちょっと女っぽい格好とかできんかったわけ」

(アー!傘もささずに走ってきたんだと見直した私がバカだった)

「うるさいな」

警察官を目指す奴が選んだのはSWATを特集したようなドンパチ系で、早くも退屈した私は寝たフリを決め込んだ。

「○○(私の名前)?寝てんの?」

予想外だったのは次に手を重ねられたこと。ただそれだけだけど、とてつもなく心臓バクバクしたのを覚えてる。

帰り際「お前と付き合うのは大学生になってからかな~」と言われ、ムカついたまま帰宅

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私は地元を離れて学生を続ける道を選び、奴は地元警察官になった。

毎年春になると、とりとめのないメールがきた。最近どうしてる、とか、今地元にはいないのか、とか。基本的に返信が面倒になった時点で放置した。

大体メールアドレス彼女名前にしてる男と会うのは気が引ける。

成人式後の同窓会の席で「お前が男と歩いてる姿とか想像できん」とのありがたい言葉を頂く。余計なお世話だ。

今年の春は遊びの誘いを貰うも電話先で喧嘩、「俺を殴ったのはお前くらいしかおらんし、まあいいわ」と言われるけれど殴った記憶全くなし。

そうこうしているうちについ先日、彼から同級生宛に一斉送信で社会人然としたメールが届いた。内容は、2日以内にアドレスを変更するということと、結婚した身であり、不必要な疑いがあるといけないので女の人には新しいアドレスを送らない、どうかご容赦くださいとのことだった。

結婚自体は以前から知っていたのに、もうメールがくることはないと思うと、少なからず動揺した。

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O君、結婚おめでとう。それから、でられなかったけれど、最後電話をかけてくれてありがとう。さよなら

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