2010-11-09

私には彼を褒め殺す趣味がある。それを友達は「変」だという。

「○○君のような魅力的な人と知り合えて、私、運がいい」とか、「他と比べて俺はたいした奴じゃない、っていうけれど、私は、あなたのことは一番素敵だと思っているよ」とか。「バカップルのバカ女」といわれそうなことを、「今日は褒める日」と決めたら、彼を褒めまくる。まっすぐ彼の目を見ながらいう。彼の部屋で料理掃除をして尽くす女を演じながら、心の中はドSの女王様。甘い言葉で追い詰めていく。いや、SM女王様って、よく知らないけど。

褒め言葉って、反論しにくいよね。非難する言葉に対しては、反論する言葉はたくさんある。でも、褒め言葉って、反論しにくいよね。「すてき!」といっても、「いやいやいや」と否定する人は多いけれど、「あなたをすてきと思う私って、変かな?」とすると、「うん、変だと思う」という答えは、まず返ってこない。否定も肯定もできなくして、押していくと、相手の態度が変わっていく。

言葉陳腐でもいいのだけれど、言い方と回数が、とても大事ということが、やってみてわかった。ささやくような声で、耳元で話すと効果がある、とか。顔と口調はいつも通りで、例えば「すみません領収書ください」というような感じで、「世界で一番大好きですけど何か?」と言うと、彼は、ものすごく動揺する。動揺するけど、隠そうとする。でも、「どう返していいのか、わからない」のが見てとれる。それを見るのが、すごく楽しい。でも、これらを第三者が見ていたら、絶対爆笑される自信がある。

口に出しはしないけれど、「ウザい」とか「キモい」などと相手に思われているのではないか、と、ずっと思っていた。けれど、人間心の動きは体に出るみたい。色々あるけれど、例えば、瞳孔が開いて黒目が大きく見えると、褒めた効果があった、とか。「ああ、このタイミングで『欲しい服があるんだけど……』とか言ったら、コロっといくな」というのが、最近見えてきた。いや、言った事はないけれど。

いつもこんなことしているわけじゃないけれど、褒める前と後では、彼の態度というか、オーラみたいなものが違うのがわかる。彼にそんな事をし続けていたら、見かけと違って、自信がなかったり、不安な人が、うっすらとだけど、わかってきた。そういう人は、とても多い。

好きでもない相手に、こういうことはしないし、好きな相手を不幸にはしたくない。けど、振り回しているのは事実なんだよね。でも、SM女王様などの、攻める側って、攻められる側の気持ちがわかっていないと駄目だと聞いたことがあるけれど、わかるような気がする。

というかさ。いい加減、「私がこういうことをされたいんだ」という事に気づこうよ。

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