・技術者は専門分野によって細分化され、スペシャリストを産み出すことになったけれど、逆に、オールラウンドに通用するような技術はもはや存在しない。
・根底にあるのは、楽しさなのである。これを感じない人は技術者にはなれない。どんなに腕が良くても、である。それは、この得体の知れない楽しさだけが、技術というものへ向かう姿勢を長時間維持させる力だからだ。
・工業はあくまでも作品に価値がある。芸術は、作る過程で作者が得た感覚がすべてであって、出来上がった作品は単なる残骸、あるいは思い出のシンボルでしかない。したがって、前者は、まったく同じものを複製しても同じ価値を持つが、後者は、複製したものは贋作と呼ばれ、価値が生じない。
・何度も何度も周囲の大人たちから「どうだった?」ときかれるのが、今どきの平均的な子供である。「楽しかった」と微笑めば大人が喜ぶことくらい、経験的に学んでいる。
・好奇心は、覚えるものではなく、目覚めるものだ。与えられるものではなく、自分の内から発するものである。
・自分が本当に作りたいもの、好みの形や色、欲しい機能を自分に問いかけることは非常に重要なことで、多くの現代人はそういった習慣さえ持っていない。つまり、自分の好みを知らない人が多い。