お金がない。
私ちゃんはお金もってないから明日を買うことができないね、って無神経か意図的にかあの子は言う。
他の子は当たりまえのようにみんな買えるのにねって。
ううんそれはちょっと違う、
「当たり前のように」明日をむかえている子はそもそも、
明日を、お金をだして、買って、ようやくむかえているという認識すらないんだよ。
だけど明日って大変なことなんだよって声を大にしてつぶやきたい。
私はなかなか明日を買うことができない、だからこそ身に沁みてよく知っている。
明日になるとかさかさだった左のまぶたの皮膚がなめらかに戻っている。
明日になるとこくまろじゃなくてとろけるカレーで作ったカレーすらおいしくなる。
明日になるとおなかがすいて、温めた白い食卓ロールはとってもおいしい。
あたりまえじゃないんだよ。
たった一晩でたくさんのひとがめいめいにうろうろ動いたりとまったりするんだよ。
また今日も、あとちょっとお金が足りなくって買うことができない。
だからもう24時間、私はきょうを過ごす。いま10月1日を4周半したところ。
あと819円、小銭を数えては待ち焦がれる。
はやく明日にならないかなあ。
素敵。
あの公園で寝ているおじさんは今日を迎えるまでに歯を全部売ってしまったのかな。次は内臓の健康を売るのかな。