ヒートアイランド現象が指摘されているが、東京でそれが起こっているかと問われると、感覚的には、否定したくなる。
考えてみれば、日本の最高気温を記録したのは、東京じゃあない。もっと別の不便な土地での話だ。(関東大震災時の記録は参考記録だからね)
東京にこれだけの人数が集まっておきながら、まだ今年は、誰かが東京で熱中症で亡くなったというニュースは流れていない。
東京には「サーキュレーター」なるものがある。ドンキで売っている。工夫された扇風機のようなものだ。エアコンに比べて当然消費電力も少なく済む。エアコンのように空気を冷やすものではないので、根本的に気温が下がったりはしないんだけども。しかし今年は特にこれが流行しているようで、おかげで、エアコンの室外機からの熱が街にこもるような事も無い。
元々東京都民にとって、夏は暑いものであったし、冬は寒いものであった。川の流れも街を冷やす。エアコンに固執する必要性もないし、習慣もない。昔ながらの扇風機か、サーキュレーターで充分なのだ。
おれは一度だけ東京を離れた事がある。さて、地方はどうだったかな。街を見ればどこもかしこも室外機だらけ。そして不法投棄されたエアコンの山。街を離れた村ですら。
しかし彼らは、普段はエアコンをつけずに我慢する事が多いという。お客様が来る時だけ、その1時間前に、鬼のように部屋を冷やすのだと。そうやって「うちは常時エアコンを稼動させられるほどリッチだ」と見栄を張るのだ。稼動させてないくせに。
効果的なエアコンの使い方を知らないので、各家庭の室外機からは猛烈な熱が噴き出す。それは街にたまり、夜でも高い気温を保つ。それに我慢できない人は下手にエアコンを使い、さらに熱を増す。
そんな光景に対して違和感をぬぐえないおれは、意地でも扇風機で耐えてみせようとしてみた。東京では到底経験する事のない不快指数。自分でも意味が分からない。が、なんか意地になってしまったのだ。するとどうだ、閉鎖的な街の人々からは嘲笑され、あきれられ、・・・驚いたことに、ついには街を追い出されてしまった。「街から追い出す/追い出される」という概念すら持たなかったおれは、何がなんだか分からないまま東京に逃げ帰るしかなかった。
そんな事を考えていたら、よい風が吹いてきたので、眠くなってきた。おやすみなさい。