2010-07-17

頑張れは禁句?

仕事医者ではない)の関係上、メンタルクリニックに通う方々と話をすることがある。

数年前から顕著になってきたのだが、本気で「鬱に頑張れは禁句」と思い込んでいる人が多い。

というより、励まされて憤る患者さんが増えている。

「みんな私に“頑張れ”って言うんですよ。酷いと思いませんか」

特に仕事トラブルストレスを発端とする鬱は無気力状態、

いわゆる「頑張ろうとしても頑張れない」という状態に陥ることが多く、

そんな彼らを「頑張れ!」と励ませば余計追い詰められて逆効果になる…

そこから「鬱に頑張れは禁句」という教訓が生まれた。

しかしそれはあくまで鬱の人に接する周囲の心がけであって、本人が気にするようなことではない。

お客様神様だろうが!」と店員にクレームを付ける客がいるが、

あれも元は店側の心構えを表した言葉であって、客御自ら振りかざす言葉ではない。

それと同じである。

こういった病気治療に欠かせないのは、周囲の支えである。

しかし患者本人がこの言葉を気にしてしまうと、どうしようもない。

特に冒頭の患者さんのように「鬱に頑張れは禁句」→「鬱を励ますことは禁忌」と

拡大解釈に至ってしまった場合、周囲の支えが全て本人にとって

“悪意あるもの”となってしまう。これでは治るものも治らない。

たまに患者さんではなく、患者さんの家族から同じケースについて相談を受けることがある。

心の底から心配しているのに、本人がどんな励ましや支援も嫌がるため、

どう接していいか分からず、かと言って敬遠も出来ず、困り果ててしまうそうだ。

頑張れと言われること、励まされることを厭う人へ。

症状をからかうために「頑張れ」を連呼する輩は論外だが、

全ての「頑張れ」が拒絶すべきものではないということを、どうか覚えておいてほしい。

自分の支えとなるはずのものを、自分から遠ざけてしまわないためにも。

  • 気にしちゃうから病気なんじゃん。 彼らは常人の皮を被った狂人。 言葉は通じるけど意志は通じない。 扱い方を誤ると悲劇的な結末が待っている。

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