仕事(医者ではない)の関係上、メンタルクリニックに通う方々と話をすることがある。
数年前から顕著になってきたのだが、本気で「鬱に頑張れは禁句」と思い込んでいる人が多い。
というより、励まされて憤る患者さんが増えている。
「みんな私に“頑張れ”って言うんですよ。酷いと思いませんか」
いわゆる「頑張ろうとしても頑張れない」という状態に陥ることが多く、
そんな彼らを「頑張れ!」と励ませば余計追い詰められて逆効果になる…
そこから「鬱に頑張れは禁句」という教訓が生まれた。
しかしそれはあくまで鬱の人に接する周囲の心がけであって、本人が気にするようなことではない。
「お客様は神様だろうが!」と店員にクレームを付ける客がいるが、
あれも元は店側の心構えを表した言葉であって、客御自ら振りかざす言葉ではない。
それと同じである。
しかし患者本人がこの言葉を気にしてしまうと、どうしようもない。
特に冒頭の患者さんのように「鬱に頑張れは禁句」→「鬱を励ますことは禁忌」と
“悪意あるもの”となってしまう。これでは治るものも治らない。
たまに患者さんではなく、患者さんの家族から同じケースについて相談を受けることがある。
心の底から心配しているのに、本人がどんな励ましや支援も嫌がるため、
どう接していいか分からず、かと言って敬遠も出来ず、困り果ててしまうそうだ。
頑張れと言われること、励まされることを厭う人へ。
症状をからかうために「頑張れ」を連呼する輩は論外だが、
全ての「頑張れ」が拒絶すべきものではないということを、どうか覚えておいてほしい。
気にしちゃうから病気なんじゃん。 彼らは常人の皮を被った狂人。 言葉は通じるけど意志は通じない。 扱い方を誤ると悲劇的な結末が待っている。