2010-07-09

いなす、いなす、絶対いなす

世間では、いなすとは軽くあしらうことを意味するようですが、私の育った街の中学校では、喧嘩をして相手を泣かせるという意味でした。

ちなみに隣の校区では怒る、または喧嘩を売るといったいなす一歩手前の状態をいなると使い分けていたようですが、どちらにしても綺麗な言葉ではありませんでした。

そして時は流れ高校進学となります。

地元の高校はショボかったので隣町の高校に進学することにしました。

当時人口数十万くらいのそれなりに大きな街の進学校を目指しました。

残念ながら進学校へは行けず、傷を舐め合う高校へ行くことになりましたがその話はここでは出てきません。

そして傷を舐め合う高校でさきほどのいなす、という単語クラスメートの会話で時々出てくるのですが、どうも意味が通じません。

「昨日○○でいなしてやった」「マジで?」

「○○いなしてやろうか」「やめとけよ」

とりあえずダーティなイメージは合っているようですが○○には人の名前ではなく、店舗名が入るのです。

店員と喧嘩でもしたのかな、と考えればそれなりに話は合いますが、そんなに頻繁に喧嘩するのかとだんだん疑問がわいてきました。

そしてよーく話の流れを追っていると、言葉意味がまったく違うことに気付いたのです。

その街では、いなすとは商品を盗むことだったのです。

恐る恐る聞いてみると、

「それは○○って言わない?」

「いや、それは▲▲だよ」

「え、ふつう××でしょ!」

それぞれの出身中学校ごとに違う単語が飛び出します。

古文におけるこおろぎときりぎりすみたいなもので、まったく違うならその場で気付きますが、意味微妙に入れ違いになっているものなどは言われなければなかなか気づきません。

それから1年は話しかけるたびに意思疎通できているか、確認のために違う言い方を織り交ぜながら話すという回りくどいことをしながら傷を舐め合いました。

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