2010-07-02

終戦

W杯を1人で見てても盛り上がらないし、せっかくだから2人で見ようということになった。

2人でユニフォームを着てテレビにかじりついた。日本ピンチ悲鳴をあげ、チャンスに絶叫して、本田のゴールで抱き合って、パラグアイの最後のキッカーのPKが決まって泣いた。

W杯を機会に始まった恋に比べれば数少ないだろうけど、W杯で終わってしまう恋もある。

W杯を一緒に見るのが、2人の最後の時間になることは暗黙の了解だった。むろん、一緒に見ようと提案したのは、僕にとって少しでも長く同じ時間を過ごすための口実だったし、だからこそ、願うならばもう一試合見たかった。たとえそれが不純な動機と言われたとしても。

ありがとう、岡田監督。ありがとう、選手のみんな。

あなたたちのおかげで、2人の最後の時間は代表のユニフォームのように濃い色で染め上げられた。試合を見るたびに、代表の試合も僕たちもこのままずっと続くんじゃないかと幻想してしまった。390分間の夢を見られた。

こんなに熱くて哀しい別れは、もう来ないかもしれない。

ありがとう。

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