ああ、なんと風の強い夜だ。
地震のようだ。
時々きこえる何かが飛んで当たる音が、風のなかに響く。
なにかが壊れている音だろうか?
壊れることで新しくなるものもある。
まったくもって壊れないのはよくないこと。
なのに現代の日本はなんでも壊れないようにする。
六本木ヒルズは300年持つように建てられているし、数十年前に立てられた新宿の高層ビルは長周期地震振動の対策で何億もかけて地震ダンパーなどを入れている。
いったいあと何年延命するつもりだろうか。
大規模な経済損失を恐れ、そして人命を尊重するという名目で延命する。
ガンなどになったひとは散々お金を掛けて死んでいく。
掛けたお金は家族の負担になり、保険会社の負担になり、社会の負担となる。
現代に焦がれ憧れるような英雄がいないのは、ろくな悪役がいないからだ。
すべてを壊し、破壊しつくすような悪役がいないからだ。
英雄の登場をまたず自壊するようなハリボテばかり。
自らの信ずる善しとするところが、社会の悪となるような悪役がいない。
医療費を負担はまっぴらだとか、年金負担はまっぴらだとか、社会の憎まれ役に叶う人物がでてこない限り英雄もでてこない。
あの悪党面した幹事長がもっと役者だったなら。
もっと壊れれば新芽も吹くのに。
強風の中、野焼きなんかしちゃ新芽までももちやしない。
そもそも人類はそういう悪役が登場するのを予防するために、延々とシステムを改良し続けてる。例えば、政治なら王権政治から民主政治へ。経済なら社会主義よりは資本主義へ。倫理...
壊れるものは形として見えるとは限らない。 派手でわかりやすい物語の方がウケはいいと思うけど 自分が主人公になる勇気がないのなら安易に破滅を望むもんじゃないよ。