3年間連載していなかったけれど、最近また連載を再開したと思ったら1巻分程度の連載でそのまま終了してしまった。自分は大好きな作品だっただけに、残念だ。初夏に10巻が出てそれが最終巻となるらしい。今回は、最終回のエンドについて考えた予想を色々書きたい。
肩すかしを食らったような終わり方だった。最初の方の巻から何度もあらわれている葛藤を理由に、ひだりとうまく付き合うことはできないと宣告した瞬間に終わるからである。由紀がその葛藤を経てソレをひだりに伝えた後に、二人の関係はどうなったのかという話の先が自分は気になって仕方ない。
ひだりと本気で付き合えなかった理由は、男の汚さ(それに関係する女装したユキから生じるアイデンティティ)と、母子以外の関係を知らないという2つの背景が由紀にあるせいである。前者は、両親の不仲や不倫を繰り返す父をみて植え付けられた男の汚さであり、そこから逃れるようにはまった女装が、何も自慢できない由紀の存在価値になり、それを守りたくて仕方がなかったということである。後者は、さちさん(母)とひだり(子)の関係をみて、幸せな家族像や恋人像の在り方を覚えてしまった不幸にある。それゆえに、親と子の距離感で付き合うしか知らない由紀は、ひだりの成長に自分が追い越されていくように感じて、どう付き合えばいいかわからなくなっていくのである。あの結末は、結局最後まで決められなかったのだから、これからも自分の女装以外の存在価値と、新しい関係を作ることができないままに由紀は生きていくと言っているように思う。その返答としての、『意味わからないよ。』というひだりの発言が、将来的な二人の破綻を現しているのではないだろうか。
こちらはどうなるか正確にはわからない。上の展開の後に水面に泣きついて、それでも許されるのかどうかがわからない。そもそも水面に接近したきっかけは、憧れの女性の理想像だったからである。心的には、尊敬する(自分もそうなりたい)同性の友人という立ち位置なのである。だから、主人公はひだりに対して抱くような成長関係の問題を抱かなくてすむ。友情なのだから。しかし、肉体的にはちょいちょい味見?をしているあたりが由紀の同性同士でも色々して大丈夫という性態度が伺える。さて、つまり水面と一緒にいる上で残るのは、前者の問題である。女装とどう折り合いをつけるのかである。ただ、8巻で結局女装を捨てないでも許すような発言を水面がしている。なんというか、本番まではせずに身体を重ねる関係でだらだらと続きそうな予感がある。