僕がまだスポーツ選手(全く有名ではない)だった頃の話を書こうと思った。
見習いライターの練習台になってくれと頼まれたので、
焼肉と引き換えに受けることにした。
見習いさんは3人ずつ2グループいて、
2回インタビューを受けた。
2番目のグループは外に出る形式だった。
実は、ちょうどこの時期に、
(問題の詳細は書かない)
見習いさんたちは、その話をあらかじめ知っていたようで、
最初のグループは、その話ばっかり振ってきた。
僕としては紳士に対応したが、
正直、気分の良いものではないし、
早く忘れて次に行こうと思っていたことだったので、
めちゃくちゃストレスだった。
途中で、こんなインタビューは嫌だと思ったが、
呼んでくれたライターさんの手前、
誠実に答えていた。
彼らは、本当に根掘り葉掘り聞こうとしていたし、
刺激のある言葉を僕から引き出そうとしていた。
次のグループとの間の休憩中、
本当に嫌だと思ったので作戦を練った。
早速、僕が抱えていた問題に切り込んできた。
僕は、彼らが聞きたがるような、
面白い話を用意して、
「そういえばこういうことがありまして」
と、僕が抱えていた問題よりも、
これの効果は大いにあって、
後半のグループはその話題に食いついた。
問題に引き戻そうとする質問があっても、
うまく面白ネタにつなげるよう答えた。
そのおかげで僕は楽しみながら後半のインタビューを
終えることができた。
何より、僕はいかに彼らの興味を、
問題から逸らすかを楽しんだ。
終わったあと、見習いさんたちは400字程度に、
インタビューをまとめて、それを各自発表した。
話のトーンがまるで違った。
僕の問題を暗くねちっこくまとめた前半グループと
僕の問題をおまけ程度に明るく書いてまとめた後半グループ。
僕は、種明かしをした。
前半の人たちのインタビューがとても嫌だったこと。
後半の人たちは意図的に明るい話題に誘導したこと。
前半の人も、後半の人も、衝撃を受けていた。
まさか選手に誘導されるとは思わなかったのだろう。
ライターさんは、
見たこと聞いたことを伝えるだけならライターはいらない。
選手自身が気付いていない部分を書かないと駄目だ。
と見習いさんたちにいっていた。
変なインタビューウィーですいません。
焼肉、おいしかったです。
大人だな。 見事。