2010-02-10

もしかして鬱かもしれない

最近ぼんやりと「もしかして私、鬱なのかもしれない」と思うようになってきた。

それと同時に「いや、鬱の人は自分のこと鬱だとは思わないらしいから私はまだ大丈夫」ても思う。

ゆっくりゆっくり自分自身が壊れていくような感覚

もうダメかもしれない、と、いやまだ大丈夫、の間を気持ちが行ったり来たりする。



もともと会社勤めの正社員で、フルタイムで働きながら水商売ホステスを掛け持ちして、ついでに風俗嬢もやってた。

働き続けた理由は色々とあるけれど、一種の強迫観念じみたものがあったことは否めない。

特に風俗嬢経験したのは強迫観念じみた焦燥感に突き動かされた部分が大きい。

とにかく働かなければと思っていた。風俗嬢をやらなければいけないと思っていた。

一昨年の秋ぐらいから働き始めて、昨年末まで正社員ホステス風俗嬢をかけもちしていた。



年末風俗嬢を辞めた。

生々しい話で申し訳ないが、お客様フェラチオした後に帰宅して夕食を食べることができなくなった。

三十分前までペニスを頬張っていた口で食べ物を咀嚼し飲み込むことができなくなった。

洗い流しても落ちないローションの匂いとかお客様キスされた後に残るかすかな体臭に耐えられなくなった。

急におとずれた拒否反応に、自分でもびっくりした。

風俗一本を本業として生活している嬢の皆さんがすごいと思った。

自分がそこに辿り着けないことに、自分の弱さを見るような思いを抱えながら、結局店を辞めた。




風俗嬢を辞めた分、ホステスを頑張るようになった。

わかりやすく指名が増えた。

店で人が足りないと言われれば出勤し、担当しているお客様から○日に店に行きたいのだけれどと言われれば休みをとっていた日でも出勤し、そうこうするうちに正社員ホステス両方の休みなく週6日フル出勤したりもした。

働いている間はなんとかなる。

店に出勤し、同僚の女の子と他愛ない話をかわし、アルコールを飲みながら馴染みのお客様と話をしている間はなんとかなる。

そのかわり、店から帰宅してから、正社員仕事だけでホステスを休んでいる夜に、何の予定もない日曜日に、ひどい憂鬱間と脱力感にさいなまれるようになった。

会社に行くためのブラウスストッキングと下着を洗濯し、バイトお客様に外でお会いするときのための洋服の手入れをする、ぐらいが精一杯になってしまっている。


もともとメンタル面が弱い自覚はある。

自覚はあったのだが、症状がひどくなった。

息ができなくなる。動悸がして、手足が冷たくなって力が抜け、やがて体全体から力が抜けてしまう。

時々あった症状がほぼ毎朝のように襲ってくるようになった。

毎朝目覚めると毛布の中で丸くなる。

力が抜けて冷えきった手足を丸めて息苦しさに耐えながら、もう今日は休んでしまおうかと何度も思う。

そうなるともう何もかもが怖い。人に会うのが怖い。仕事でとんでもないミスをしそうで怖い。昨日も顔をあわせた同僚や先輩の前で、今日自分はちゃんと話せるだろうかと思う。

思いながら、会社に行けばなんとかなるのだからと思い直し、ずるずると布団から這い出して会社に行く支度をする。

毎日毎日、朝がまるで地獄のようだ。

夜になると苦しさは少し薄れる。

そのかわり眠れなくなる。眠りがひどく浅い。もう寝なきゃ明日も仕事なんだからと思いながらむりやり目を閉じ、このまま気が狂ってしまったらどうしようというわけのわからない不安感にさいなまれながら眠りにつく。


自分はもしかして鬱なのかもしれない、と思う。

あるいはこのまま鬱になってしまうのかもしれない、と思う。

まだ仕事ができているんだから大丈夫、とも思う。

明日には本当の本当におかしくなってしまっているかもしれない、とも思う。



もしかして、もしかしたら鬱なのかもしれない。

でもそんなこと誰にも言えないし相談しようもない。

どうしようもないからこの場を借りて自分不安感を吐き出させてもらって、明日も普通に起きて会社に行ってバイトに行く。

働き続けることでなんとなく「私はまだ大丈夫、鬱じゃない」と証明できそうな気がする。

証明することに意味なんかないのかもしれないけれど、それでも働き続けずにはいられないのだ。

どんなに息ができなくなっても、毛布の中で泣く夜と朝が続いても、私にはこれしかない。

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