2010-01-26

母の遺言

母が死んでしばらくたった。

書類の整理をしていたら、僕と弟宛の小さな手紙が見つかった。

おそらく病床で書いたのか、小さな便せんに弱々しい字で書かれていた。

「○○、△△へ

 私は今まで生きてきて、何も成し遂げられませんでした。

 勉強もできませんでしたし、大きな会社で働くこともありませんでした。

 でも最近、あなたたちがいることに気づきました。

 私はあなたたちを授かり、一生懸命育ててきました。

 悩むこともありました。腹立たしいときもありました。

 でもあなたたちは、私の生きた証です。

 あなたたちが生きてさえいれば、私はこの世に生きた意味があったんだと嬉しくなります。

 どうか私に代わって、いろいろな経験をしてください。

 母親として、あなたたちに最後の小言を書きます。 

 お金は不幸から自分を守るものだから、必要な物以外に使わないこと。

 言葉は相手の気持ちを変えるものだから、口から出すときは相手の気持ちをよく考えること。

 人は会話をすると情を持つものだから、怖れずにいろんな人と話をすること。

 楽しい時間をありがとう」

初孫見せてあげたかったなぁ。結婚しにくい世の中だけど、親からもらった遺伝子はやっぱり

引き継いでいきたい・・・とぼんやり思ったのでした。

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