60歳前後の夫婦二人で切り盛りする、カウンター7〜8席ばかりの小さなお店だ
マスターはちょっと見頑固そうなおっちゃんだがさにあらず、話が好きな人の良いおじさんだ。
おばさんも世話好きなお母さん、という感じ。
常連さんが次々に訪れ、食事と会話を楽しんでいく、そんなアットホームな下町の洋食屋。
と、自分でここまで書いてみても非常に憧れる良い店に感じるんだが、問題が一つある。
料理がしょぼい。
まず盛りつけが微妙。付け合わせの野菜が不味そう。事実不味い。要するに汚らしい。
味付けがはっきりしない。良く言えばソースの味に頼らない、素材本来の味を生かした云々とかいうことに
なるんだろうけど。
この店は揚げ物が売りなのでそちらはまだよい。
今日食べた牛肉の炒め物は、肉はぼろぼろ、一緒に炒めた玉ねぎにはなんか焦げ付き成分が付着して食べる
気をそぐ。
出されたとき、失敗作かと思った。でも自信満々で出すんだよな。確かに牛肉のうまみは感じた。しかし
全体的にぱさぱさで、残してしまおうか本気で悩んだ。
おばちゃん「こればかり頼むお客さんもいるんですよ」
ま じ か。
この店の常連は、アットホームな雰囲気があれば料理の味などどうでも良いのか。
……いや確かに俺の舌が超絶狂っている可能性も十分にあるだろう。
でも料理歴長いおっちゃんだったら、もう少し全体的な完成度をもう少し高められると思うんだ。
外食をするという体験を、もっと充実したものに出来るはずなんだよ。
…おばちゃん。他のお客からオーダーの入ったコーヒーを、コーヒーメーカーで作り始める。
ガラスのサーバーの底に1センチほど前回作ったコーヒーを残したまま作り始めてしまったよ。
まあ行かなきゃ済む話だよな。気に入らなきゃ。
みんな甘やかしすぎだ。