生活水準は600万の世代も1000万の世代もあんまり変わらない。
自分が昇給した時、その差額の400万は子供や孫に遺してあげたい。
何かあった時に彼らが辛い目に遭わないようにしたい。
そういう価値観は、世の中に結構あると思う。
真面目で、善良で、美徳とすら言えると思う。
でも、裏返すとそれって、他人の子供の事は全然考えてないってことだ。
愛する我が子の為だからこそ頑張って資産を残そうと思えるのであって
それを取り上げられてベーシックインカムやセーフティネットに回されるんだったら、そもそも頑張れない。
じゃあ自分で消費するか?少しはするだろうが、殆どそれもしない。休む。
自分の子供の為なら無理できても、他人の子供の為には続けられないだろう。
「アリの子に生まれたという理由だけで何重にも保護される奴がいるなんておかしいじゃないか。」
と考えるだろうし、それ自体は至極妥当だと思う。
でもアリの親からすれば逆だ。
「俺は、自分の子供が大人になった時、越冬できるか心配で心配で、だから頑張ったんだ。
頑張った分、心配が減らせるのは当然の権利じゃないか。
その権利を何でキリギリスの親なんかと分け合わなくちゃいけないんだ?」
と考えるだろうし、それ自体は至極妥当だと思う。
自分の家族のことしか考えない親を、エゴイストだと責められるだろうか?
それこそ愛や生甲斐と呼ぶべきものだろう。それを奪われたら働けない。
「今は老人共が溜め込んでるから、経済が停滞して若者が苦労するんだ!」と言う人がいる。
間違ってはいないだろう。でも老人を悪人のように感じている人は思いなおしてほしい。
"じゃあキリギリスの子供は諦めて死ねって言うのか?!"とも言わないでほしい。
諦める必要は無い。ただ、
「老アリは害だから締め上げてやればいいんだ」とさえ思わなければ。