吐き出す術が他に無いからこんなとこにかいてみる。
僕は失恋をしていた。好きだった子が自分の友人と付き合い始めた、ただそれだけのことなんだけれど。数日間は本当にショックで何も考えられなくなった。言葉にしてみると陳腐だが実際そうだったと思う。悲しみだとか悔しさだとか愛しさだとかそういった感情じゃない、ただ吐き気がしてしばらく呆けていた。
そのころ出合ったのが彼女だ。彼女は好きだった子の友人だった。メールの送り間違いがきっかけで(後にこれはわざとだったことを知ったのだけれど)いろんなことを話したと思う。
僕はまるで好きだった子の代わりのように彼女と仲をよくしていった。誰かが誰かの代わりになるだなんてありえるはずがないのに。
結局、僕は彼女に告白をした。彼女のことが本当に好きだったのかは分からない。心の隙間を埋めるのに彼女でなくてはならなかったのかどうかも。
ただ一つ言えるのは、失恋をしたとき、あの告白の時のような胸の高鳴りが今回は無かったということだ。
結論から言うと僕と彼女は付き合うことになった。付き合う、といってもそんなことはお互い初めてだったので、別に何が変わるわけでもない。ただいつも通りにメールをしたり、一緒に買い物をしたり、休みの日は彼女の家に遊びにいったりするだけ。それ以外は何も無かった。
彼女はとても変わった人で、友達もあまりいなかったと思う。
実際、僕の周りの友達からの評判もあまりよくなかった。僕はそれがなぜだかわからなかった。
ここで一つの事件がおきた。僕の好きだった子と僕の友達が別れたのだ。
もともとその女の子の猛烈なアプローチによって付き合い始めた(もちろんそのことが僕に大きなショックを与えていた)わけだから長くは続かないなと僕は勝手に予想していたがその通りになったのだ。今さらその女の子をどうこうする気はなかった(そのとき僕には彼女の存在があったし)のでただその女の子を慰めていた。
ただ、この別れによって僕の男友達と女友達の仲が急速に悪くなった。今まではそんなことなかったのに僕の好きだった子や彼女の陰口を言い出す。僕は全くもってついていけなかった。急に何もかもがひっくり返った。彼らがそんな陰口を言うたびに胃の中からこみ上げる物があった。僕の好きだった女の子の純粋な思いが笑われる。
「ほんと毎日毎日、メールがうっとうしいんだよね」
また強い吐き気がした。僕はいっそのことそいつを殴ってやろうかと思った。殴ったら僕は友達ではいられなくなるだろう。それでもいいと思った。
「そこで殴ってたら、かっこよかったのにね」
縛の好きだった女の子は泣きながらそう言った。僕には何も出来なかったんだ。
「君を好きになってたらこんな思いしなかった」
もう、遅いんだよ。
彼女も、同じように扱われた。一緒に帰ったりしている僕も次第に攻撃対象とまではいかないがいじられるようになっていた。
僕は、
人前で彼女といることが
恥ずかしくなってしまった。
それとは逆に彼女は僕のことを好きになっていった。
好きではないのに自分から告白して、巻き込んで、好かれて、嫌いになって、本当に自分勝手だとおもう。友達なんて社会的体制のために。
まだ恋愛なんて数えるほどしかしていない僕にはこれが恐ろしく愚かで罪深いものに感じる。もしかしたらこんなことは良くあることなのだろうか。
彼女のことを本心では好きだったのかもしれない。帰り道や、一緒に勉強をしたことや、CDを貸し借りしたことや、授業をサボったことや。全部が楽しかった。でも心の中にはいつも何か引っかかるものがあった。
八月の終わりに僕は彼女を振った。
今度、借りていたスピッツのCDを返す時に全部話そうとおもう。
それが僕のできる精一杯だから。