もう勘弁してください。
もうあなたは奥様がいて、お子さんもお二人いらっしゃいますでしょう。
もういいかげんに大人になってください。
そもそも私は会社を辞めた身です。いちいち同期会だとか名目をつけて呼び出さないでください。
あなた以外の元同僚には恩義も感じておりますので、そちら経由で呼ばれてしまえば特に強い理由でもなければ出ないわけには参りません。
しかし、あなたの企画する場、私とても居心地が良くありません。
もう30代なのですから、フットサルで無理して顔面から流血なさっても私少しも哀れだとかかわいいとか感じません。
もう30代なのですから、ハイキングでおやつは300円までなとかああここにオーバーやつしたやつがいる悪いんだとか本気で言い出すのはおやめください。心底うんざりいたします。
あなたももう30代なのですから、大して酔いもしないのに店員にからんで少しでも有利になろう、良いつまみよい酒を少しでももらおうとするのはおやめください。
しかもしばしばチェーン店で!
私などもう30も半ばに近いのですから、もうちょっと美味しい料理でしっとりとしたお酒を飲みとうございます。なのにあなたはいつもチェーン店の飲み放題コースばかり予約してくる。高いばかりでまずい料理まずい酒、しかも今時15年前の学生ノリで発泡酒のジョッキを一気飲みするコール。
「いいとこみてみたい」ってもう10年前に散々見せたでしょう。
同じ安酒ならまだトリスのロックをゆっくり飲むほうがましでございます。同じ安酒なら赤玉ポートワインで楽しく焼き鳥をつつきたいのです。
私あなたの勤めている会社を辞めた際に本当に嬉しかったのです。理不尽な仕事をやめることができて嬉しく、またあなたの企画する飲み会に毎週参加しなくても良くなったことが嬉しかった。
ですが年に数回私を呼びますね。しかも直接でなく私の恩人を個々に使い分けてまで。なぜですか。やめていただきたい。
今はもう私は私の人生をあなたと違うところで歩んでおります。私は私の仕事をつかみました。あなたの業界から消えました。
今度はあなたが消えてください、私の視界から。
お子様や奥様の心配は要りません。もともと彼女は優秀なエンジニアですし、そちらの社内でまだ彼女を好きな方が何人もいらっしゃいます。
どうぞご心配なく。どうぞご心配なさらずに。心置きなく消えていただいて一向に構いませんよ私は。いかがですか。