昔の事、学校の休み時間になると、いつものようにクラスメートが私の机を取り囲んで暴言を吐き始めた。
「お前何でいつもここにいるの?」「邪魔なんだよ」「いるだけでムカつくよなー」
私は只、皆と同じように通学し、決められた席に座って皆と同じように授業を受け、そしてそのままの体制でいただけなのだが、そんなことは彼らには関係なかった。私が黙っていると、彼らは相変わらず次々に言い続けた。「バーカ」「のろま」「ボケ」「ブース」…これらは否定しようがなかったので、私はそのまま黙って机に伏せていた。
すると、彼らの中の一人が叫んだ。「こいつ、反応しないぜ! 頭おかしいんじゃねえ?」他の面々も口々に、「聞こえてねえの?」「そうだ! やっぱり頭おかしいんだ、こいつ!」「言葉通じねえんだもんな!」
…そして、「こいつはやっぱりキチガイなんだ!」「そうだ、キチガイだ、キチガイ!」「いや、ダ●ン症かもよ!」「脳●麻痺じゃない?」「つ●ぼじゃないの」「特殊学級いけよ、ここにいんなよ」「とにかく障碍者だよ、障碍者!」「やーい、障碍者!障碍者!」彼らが一斉に合唱を始めるに至って、ついに私は耳を塞ぎながら立ち上がり、大声を上げた。
「やめて! やめてよ! 私は障碍者じゃない! そんなに酷くない! どこも障碍なんて無い!」
彼らはどっと笑い、ますます楽しそうに得意げに次々に言い放った。
「発狂したぞ、こいつ!」「こえー」「やっぱりお前はキチガイだ!」「本当のこと言って、何が悪いんだよ」…「それにさあ」彼らの中の一人が言うには、
「障碍者、って言われて怒るなんて、それって障碍者をバカにしてるってことだろ? 差別じゃん」
「そうだ、そうだ!」他の男子も勢いづいて、「差別だ、差別!」「こいつ、障碍者を差別してるぜ!」「いけないぞ、差別はー!」「みなさーん、聞いてくださーい、増田は障碍者を差別してまーす!」
それまで遠巻きに観ていた女子も口々に、「そうだよー、増田さん、障碍者差別はいけないんだよ」「ひどいよねー、(特殊学級の)○○ちゃんが知ったら傷つくよ」「ほんとに性格悪いんだね、最悪だよ」…私は反論のしようがなかった。
そして、その後も「障碍者」およびそれに類する表現の言葉を、時にはジェスチャーを加えながらも吐かれ続けたのだった。私は沈黙するしかなかった。
彼らは自分達が悪い事をしたなんて思っちゃいないよ。 今日もどこかで楽しくヘラヘラ笑っている。
レンタルお姉さん騒動に対する皮肉、と取ったけれど。 よくある構図だよね。 お姉さんの方で同じ事やっている人が気付いているのかは知らないけどさ。