2009-05-21

swine fluの日本国内での感染状況。

4月の終わりぐらいから、A型インフルエンザ患者が増加していたという医療従事者のコメントが出てきた。A型インフルエンザであって、株については調査していなかった為に、豚インフルであるかどうかは不明であるが、豚インフルが国内において人から人への感染を起こしているのに、重篤化した患者が発生していない事を考えると、4月の中旬以後に、日本に持ち込まれていたと考えるべきであろう。というのも、日本の気象風土ではインフルエンザの発症が時期によって別れており、シーズン末期の3月B型インフルエンザが主流になって、その年のシーズンが終わる。従って、それ以後にインフルエンザ流行るというのは、新しい株が外国から持ち込まれた場合に限られるのである。

swine fluの死者は、後進国や中進国であっても貧民層であったり、幼児や他の慢性病を抱えていた人ばかりである事を考えると、日本国内においてもとっくに蔓延しているのであるが、栄養状況が良く、また、医療機関へのアクセスも相対的に低額で可能となっている事から、死者が発生せずにパニックにならなかっただけという解釈が成り立つ。

同じ病気でも、それぞれの国家医療体制や栄養状況によって、死者が発生してパニックになる事もあれば、全然気がつかないということもありえる。他国のパニックを見て慌てて対策をとり始めたが、調査してみたら、泰山鳴動して鼠一匹という話になってしまったのである。

もちろん、インフルエンザウィルスは変異し易く、明日にでも変異型が出てくる可能性はある。しかし、変異したウィルスが株として広まるには、宿主となった豚や鳥に大量死を発生させ、養豚・養鶏業者を倒産させたり、池一つが丸ごと渡り鳥の死骸で埋まるぐらいの集団的感染が何回も発生しなければならない。そういう集団感染の中から、抗体を獲得した個体がウィルスを外部に広げるsuper spreaderになる。寿命が長く、抗体の蓄積がある人間の体内で変異交雑を起こして新株が発生する可能性はありえず、豚や鳥といった、寿命が短くて抗体を持っていない集団の中で、既存株が同時感染を起こして変異交雑を起こして、ようやく、新株になるのである。株として固定されて、しかも、それが広がるというのは、それほどに珍しい事なのである。

栄養状況と体力に気をつけていれば、今流行しているswine fluは、通常の季節性インフルエンザと変わらないと考えるべきであろう。

  • シーズン末期の3月にB型インフルエンザが主流になって、その年のシーズンが終わる。従って、それ以後にインフルエンザが流行るというのは、新しい株が外国から持ち込まれた場合に...

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