自室で抱きマクラを抱いて、アニメキャラとの会話をシミュレートするのが俺の日課。
「有希ちゃんかわいいねー^^ かわいいから大好き! 有希ちゃんてさあ、なんでそんなに可愛いの? 天使だから?」
「かわいくなんか…ない///」
「可愛いよ! そういう所が可愛いんだようもうちゅっちゅ! もう本当に何でこんなに可愛いんだろーねー」
「かずくんの事…好き、だから?」
「もおお! 正解!正解だよぅ有希ちゃん! モフモフモフ!」
「くすぐったい///」
「もっとくすぐったくしちゃうぞ! ここか! ここがええのんか!」
途中から無意識のうちに声が出ていたらしい。
不審に思ったオカンが部屋に入ってきた。
俺は慌てて掛け布団で抱きマクラを隠す
「なんね、あんたの部屋、誰かいるの?」
「(ビクッ)え、いや、だ、誰も居ないけど」
「嘘おっしゃい、誰かと話しとったでしょうが」
「ケータイは居間に置きっぱなしだったで」
「あの、それは…」
「アンタ誰か隠しとるんじゃろが!」
オカンは布団をはぎ取り、有希ちゃんの抱きマクラがあらわになった。
一瞬の静寂の後、オカンは全てを悟ったらしく
「ごめんね…」
と綺麗な標準語でつぶやき去っていった。オカンごめんね