ホームレスが道の端に寝ているのはよくあることだが
通路中央に並ぶ大きな柱と柱の間に、つまり通路の真ん中に、
まるでそれが決まりであるかのようにホームレスが並んで寝ていたのだ。
大抵は顔を下に向けているのだが、仰向けで寝ている人が一人だけ居た。
その表情が目に入り、私はぎょっとした。
直感的に、亡くなっているのではないか、と思った。あまりにも寝顔というには安らかな表情をしていたのだ。
祖母の、最期の表情に似ていた。
仕事中であったので、さすがに確かめることはできなかった。
ホームレス、浮浪者・・・呼び方はいろいろだが、そういう人たちをを目にしない日はない。
彼らにも2種類居る。
何かしらでたまにでも収入を得、ある程度人間の暮らしをしているような人。
目はうつろで力がなくほぼ動かず、人間としての活動をやめてしまっているような人。
色々な意見があるだろうが、私としては、本人がよいならそれでよいと思う。
でも、後者は・・・正直、理解できないというより、同じ人間だと思えない。
ただ生きるために何かを食べ、排泄をし、あとは動かない。
それが人間といえるんだろうか。
しかし生物としての本能はあるということで、(性欲はわからないが)動物としては成立しているのか?どうなんだろう・・・
だとすればもう少し目に光があってもいいよなあ・・・
人間である以上、何かを考えているのではないかと思うのだが、
話しかける勇気は私にはないし、おそらくまともな返答は返ってこない気がする。
どうしてそうなってしまうのだろう。
ホームレスに、という意味でなく、人間としての営みを失ってしまうという意味で。
彼らだって、私と同じように母から生まれ、育ち、
大半は昔普通の暮らしをしていた人たちではないのだろうか。
私も何かのきっかけで、ああいう道を進んでいくことがあるのだろうか。
まぁ、要するに何っていうのはないんだけれど
もうすぐ春だというのに、やけに暗い気持ちになってしまった。
そういう考え方が出来るのは幸せなんだと思う。 俺なんかいつ転がり落ちるか分からないもの。 何か事件があれば同じような芽が自分の中に あることを感じてビクっとしてしまうし...