あれはおそらく幼稚園に入る前のことか、むかしはおおらかと言うか、その年齢の頃の子が近所にひとりで出かけることがあった。
子供の時を思い出せば、なぜあんなことにああも無心になれたのかと不思議に思うほど、ひとつの遊びに何十分も、何時間も、熱中していたものだ。
サンドアートのまがい物のようなものだが、子供なりに手の込んだものだった。
それを作り、そろそろ完成かという頃に、近所の同い年くらいの子がつかつかとやって来て、僕のお城をけり壊した。
子供がすることだ。
しかし今振り返っても、僕は同じく子供だったが、そういうことをするという発想自体が無かった。
その時、僕が思ったのは、人には二種類いるということだ。
作って喜ぶ人と壊して喜ぶ人。
一言一句そのままに、3歳の頃の僕はそう思った。
今もその考えは変わらない。
そして、その砂の城を金で買う人間がいるのだ… うっ