毎週フリスクを食べていた。
なぜかみんなが食べるそれと一つ違う事は僕の買っていたフリスクはいろんな模様があり、コンバース、ナイキ、シャネルなどいろいろな刻印があった。
苦いけど、ガリガリ噛み砕いて、グレープフルーツジュースで流し込んで1時間すると、えづきが止まらなくなるのが合図で、段々フワッとしてくるのがわかった。僕の体の周りを優しい何かが包み込む。
お金で愛が買えるとは思わないけど、4時間程度の幸福なら2500円で購入できたし、今では考えられないけど、六本木を歩いてるとフリスクを売ってる外人が結構な頻度で声を掛けてきた。
医学的には多幸感というらしい。
僕のフリスクは多幸感があって、毎度幸せを感じた。友達と食べるとあまりの幸せぶりに、ハグしたり、友達で良かったと堅い握手をした。
女の子はみんな可愛く見え、学生時代に虐められたことなんか、狭い学校の中にある村社会なので仕方がないと簡単に納得できた。
一度、わざと嫌な事を考えようと思ってみたが、途中からネガティブな言葉の意味全般が分からなくなり、ネガティブな言葉自体思い出せなくなり、あれ?ネガティブって何だっけってなって、今日を生きる幸せを思い出し涙が出た。そのくらい効果がすごかった。
その頃家で紅葉を育てていた。
紅葉を燃やして大きく肺に吸い込むと、楽しくて気持ちよかった。
多幸感と楽しいは全く違うが、両方を一度に試すとフリスクと紅葉なのに口からヨダレが出るくらい気持ち良かった。
ソファーにめり込んで2時間経ってた事もあった。
例えると、暖かい光がポカポカ差す春先の昼間に公園で好きな人に膝枕してもらってうつらうつらしてると、ヨダレが出そうになるけど、危険度と引き替えに快楽のレートがもっと上がる感じだと思う。
寝入りばなの快感とはよく言ったものだと思う。
彼女は彼氏と一緒にフリスクを食べていたが、このまま田舎に帰れないので家で休憩したいと言っていた。精神を少し病んでいたので、彼女のフリスクを回収し、ゆっくり寝かして家に帰した。
それ以前から気にはしていたので、マメに彼女に連絡を取っていたが、それ以来連絡が取れなくなった。
数ヶ月経ったある日連絡が取れたので、冗談で捕まった?と聞くと本当に捕まったと言う。
彼氏が捕まり、芋づる式で彼女も捕まった。その際に正月の行動を話し、僕の家でフリスクを捨てた事も話したらしく、大人の鬼ごっこの鬼担当は僕の住所と間取りを調べたらしいが、僕は彼女の目の前で食べなかったので、僕は首の皮一枚で助かった。
その後、友達と慌てて部屋を掃除し、大量の紅葉の葉は川に流した。
ある日テレビを見ていてびっくりした。
捕まった彼女と共通の知り合いの切手売りが国営放送のドキュメンタリーに出ていた。
目にモザイク、声は変えられていたが、病的な色白の肌とシンナーで溶けた前歯に特徴があったので、すぐに分かった。
切手売りは僕に幻覚が見える切手を売ってくれたが、僕は購入時には公衆電話から電話していたので足がつかなかった。一度でも携帯電話から電話していたら僕も芋づるだった。
彼は遠い国で何年も何年もおつとめをしてたらしく、最近日本に帰ってきた。
あの一件以来、真面目に仕事をしている。
僕は捕まらす、精神も破綻せず、周りが鬼に捕まる事によって人生の転機が訪れた。
ただツイてただけだ。
悪い事してても破滅しかないからやめた方がいいと思う。
ヘイ!石田衣良っぽいぜ。
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