それが今日、届く予定だった。そして来た。押されるチャイムのボタン、鳴り響く「ピンポーン」という音。
俺は分かっていた、この時が来るのを。そして待ち侘びていたのだ。
俺は玄関へ向かおうとした。しかし次の瞬間、響き渡る怒鳴り声。親父だ。
うるさい。家には内線でチャイムと電話が繋がっていて、その電話から玄関と通話ができる仕組みだ。
しかしこっちはもう既にamazonからの荷物だと分かっているのに。くどい。
俺は無視した。そして玄関を開けると、そのタイミングで親父も玄関に駆け寄ってくる。
「インターフォンから出ろって言ってるだろ!」
違いない、だがそれは来た人間が誰か分からない時に限るし、たとえamazonでなくとも俺はそれ相応の対応をすることができる。なのに何故こんな事を痴呆の様に連呼するのか?
俺は刹那の間に思った。もし仮に俺が「自分の用事だからお父さんはいいよ」と言っても信じてもらえるだろうかと。
玄関を開ける。「amazonからです。サインお願いします」と言う配達員。後ろでまだ怒鳴り続ける親父。
あまりにも親父が鬱陶しいので俺は後ろを向いて「いいから!うるさい!」と言ってしまった。
「あ・・・」と戸惑う配達員。
殴り書きでサインを済ますと「ありがとうございました」と言って逃げるように配達員は退散して行った。
俺は荷物を適当な場所に置いて親父の方を向く。
「自分の用事だからいいのに」
すると親父は
「だったら最初からそう言えよ!少しは人のことも考えたらどうだ!?」
いい加減にしろよ。クソ。
「最初からそう言っておけばよかった」とある増田のお話。
おとんが前日に観た映画 「ファニーゲーム」