2008-12-19

文系息子から理系父への手紙

親父よ。俺が高校の時、やたらと理系に行けとうるさかったな。そんなもん無視して文系クラス選んだ時の落ち込みようは今でも覚えてるよ。

でもな、俺は知ってたんだよ。東大京大一橋東工レベルなら文系の方が給料も良くて出世もできるって。

おかげで今の俺は、会社でしっかり理系どもをこき使う立場になったぜ。

理系の奴って、やっぱり変だ。大事なのはあんたがどう考えるかじゃない。顧客が、カウンターパートがどう受け止めるかなんだよな。

いい加減自己満足の説明やめて、聞く側が求めることを感じ取ってそれに答える説明してくれ。

あんたの仕事重要性ばかり主張せず、それが経営全体の中でどんな位置付けかよく考えてくれ。親父見てたから、理系脳はよく分かってる。

親父はガキの俺に、クリスマスに組み立て式のトランジスタラジオくれたよな。山に連れて行ってくれて、この岩は粘土岩だとか教えてくれたよな。

俺に自然科学への興味を持たせようとか考えてたんだろうけど、残念でした。山にはエロ本落ちてるんだってこと知ったのが唯一の収穫だった。

テレビ見てる俺を軽蔑するような目で見てたのも覚えてるぜ。どうせこんなつまらんもの見るなって思ってたんだろ。

そんなことだから人とのコミュニケーションがとれず、いい大学出たのに部長にもなれずに終わったんだぞ。俺にはいい反面教師だったよ。

関連会社に飛ばされた後、ぼけっとテレビ歌番組見ながら「最近はこういうのが流行ってるんだな」とつぶやいてた親父には正直びっくりしたよ。

リストラをきっかけに、親父なりに今までの生き方後悔して、もっと柔軟な人間になろうと思ったんだろう。

デジタルテレビすら買えないってお袋にぼやいてたのが可哀想だったから、俺が夏のボーナステレビ買ってやった。

お袋から聞いたけど、今ではテレビ漬けの毎日なんだって? 北京五輪良かっただろ?

人生後悔するのはまだ早いよ。俺が偉くなって金持ちになったら、それは俺を育てた親父の勲章だ。だから俺は頑張るぜ。

でもな、人を使うのが仕事になると、自分の力では新しいものを生み出すことができないことが苛立たしくなってくるんだよな。

自分仕事の成果がいまいちはっきり見えないのが楽しくないんだよな。ひょっとして親父の理系遺伝子のせいなんだろうか。

今だから言うけど、昔仕事に行き詰った時、親父が建てたビルを見に行って気合入れなおしたんだぜ。

夏には俺にも子供ができる。共働きだから、親父とお袋にも子育てお世話になるけど、ごめん。でも、今度は間違えるなよ。

どうせたいした老後の生き甲斐なんかもってないだろうから、立派な理系孫を育てるのに励んでくれ。

http://anond.hatelabo.jp/20081219045204

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