2008-12-12

http://anond.hatelabo.jp/20081212232925

ん?

じゃあどうして漫画では双子の話が多いか、右のコマの人が左のコマを覗いてるかわかる?

たぶんわかんないだろうから教えてあげる、

マンガでは常に「同一性」というのが疑われるんだ。

つまりね、右のコマに対し、左のコマは「物語上」、数秒後、数分後というように直後の時間を表すという基本的な約束事がある。

一方、「物語上」という以前に、「一枚の絵に書かれた絵」という性質も同時に持っていて、その点では右のコマの人物Aと物語上直後とされる左のコマのA'は独立した別々の人物像ということになる。つまりマンガの持つ「物語性」は常に「一枚の絵に書かれた絵」というメタ性によって脅かされている。

つまりAとA'の同一性は常に疑われるんだ。(この辺、普遍的な哲学の問題でもある。直後の自分との同一性)

手塚はそこに自覚的だったからちょくちょくコマ間を覗いたり、コマが破れたりしてたんだね。

さて、物語というのはそうやって「しくみ」によってウソを暴かれそうになると、「しくみ」を取り込んだ、バレないウソを突き出すようになる(これが小説ならスガ秀美の言う「小説的強度」になるわけだが。もちろん知ってるよね)。その一つの形が双子でもある。

通常、マンガで書かれる人物というのには二つの(一見すると相反する)特徴が挙げられる。

・同じ人物の絵をいくらでも書くことができる

・寸分違わぬ同じ絵は2度と書けない

これによってキャラクターの同一性は常に疑われるのであるが、それに対する漫画的強度として現れるのが双子なのだ。

記事への反応 -
  • それは人間の想像力を使わせないから。使うとしてもちょっとしか使わせない。 というのもさ。たまたま英語で漫画を読んだんだよ。いくら分かりやすいからっていっても外国語だから...

    • 止め絵だから前後の想像が必要だと思う。 あと文は説明的になりすぎる。ために判断力がつかない。 例えば迫力のあるビルディングがあったとき、文ではそれがどんなに迫力があるかを...

      • 多少の想像力を使うのは否定するつもりはない。 迫力のあるビルってのも、絵のほうがよほど説明的で判断力なんて使わない。でも名文家とかまともな小説家は読者にうまく想像させる...

        • めんどくさいからあんまり言わんが、いしかわじゅんの「漫画の時間」のさいもんふみの項目おすすめ。それが終わったら四方田犬彦の「漫画原論」おすすめ。 「どうして漫画には双子...

          • いやさ、ストレス発散の気楽な楽しみとしては別にかまわんの。マンガって。本が手元にないってときの代わりとか。だから全否定はしない。 だけどさ、たかがマンガだ。手の内が見え...

            • ん? じゃあどうして漫画では双子の話が多いか、右のコマの人が左のコマを覗いてるかわかる? たぶんわかんないだろうから教えてあげる、 マンガでは常に「同一性」というのが疑われ...

            • >で、そのダメマンガで大喜びしてるバカが多すぎるんじゃないか。 そりゃ初読で見抜けてないお前のこった。

      • 登場人物の心理を「それはまるで○○が○○したかのような・・・」てな調子で全部説明してしまう某人気シリーズ小説もあるな。

        • そうなんだよ。 多分元増田はしらないだろうけど、ちょっと文学批評理論かじれば、小説には「説明」と「描写」があって、実はその二つは似てるようで全然違うものだというのがあっ...

    • 読者は絵だけを見ているわけではありません。 コマ割り、セリフ、モノローグすべて合わせたものが『漫画』だと私は思う。 省略されたコマとコマの間にどれくらいの動きがあるのか、...

    • そりゃマンガがダメな理由じゃなくて 「日本語でダメマンガを読んだときにダメさに気づかなかった自分のダメな理由」 じゃねーか。 しっし。そんなもんこっち持ってくんな。

    • http://anond.hatelabo.jp/20081212225235 読み方の問題を無理やりメディアの優劣に置き換えてるようにしか読めない。 「(穴がある作品を)流し読みだとすらっと読めたけど精読したら読めたもんじ...

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