仲間のうちの一人(男)が恋愛でごたごたして、皆の前で思わずぽろっと涙を零してしまった。
普段から真面目で誠実なタイプなので皆思わず貰い泣き。泣くなよーお前全然悪くないよーって言葉が飛び交う中、私の好きな人はボーっとその様子を眺めていたらしい。
「気持ちは解るけど、泣くことか?」とか「俺恋愛で泣いたことないなあ」とか考えていたらしい。
その日はいつになく皆の恋愛話で盛り上がり、これこれこういうシチュエーションで告白しただとか
告白時の緊張や失敗談や感動話が飛び交ったそうだが、好きな人はそれを聞き、相手をいじって笑う、ただそれだけしかできなかったという。
「そんなに記憶に残ってないんだよな。初めから恋愛対象として見るからかな、獲りにいこうって気持ちが先走るのか、緊張したことない」と後々彼は私に言った。
「でも、俺ずっと帰って寝るまで思い出そうとしてたんだ。
今までの恋愛の告白までってどんなんだっけって。それでも思い出せなかったけど。
思い出そうとしたんだけど…」
彼が言葉を詰まらせる。彼の内面の話なんて本当に珍しかった。いつもそんな話したがらない。しめっぽくなる話はなるべく明るく聞こうとする人だし、彼のポジティブさに皆救われてる。いつもにこにこ笑って皆の中心にいて、明るくその場を笑わせられて、聞き出し上手で、皆が彼を好きで信頼してて、飲み会には絶対呼ばれるしこの人の悪口なんて誰も口にしたことがなく、いつもあっけらとしてて、女にもモテて男の友人も多いそんな人がやっぱり笑う。
「俺、人の気持ち解ってあげられないヤツなのかなー」と。
そんなことないよ、って思わず言ったけど「何故彼がそうなのか」ってのに対して私は上手に答えがまとめられなかった。起こったことに対しての受け止め方も表現の仕方も人それぞれだから、とは思ったけど実際はどうなのかなーって思って言えなかった。男の人ならよくある話な気がするんだけど、どうだろ?
ただ、いつもと違う顔をする好きな人は、何だか愛しかった。すごい、愛しいって思った。何これ母性愛?
その彼は日向を歩いてきたんだろうねー。それか、性格的に日陰を歩いていてもそういう意識がなかったとか。 辛酸を舐めた人しかわからないことは確かにあるけど、共感できればいい...
スマンが「俺、人の気持ち解ってあげられないヤツなのかなー」って表現が気に食わない。なんなんだこれは。今の若い連中はこんな日本語を普通に使うのか。あたしゃ衝撃をうけたよ。...
人の気持ちが分かってあげられない ⇔人の気持ちを分かってあげることができない 分かってあげる。分かってあげる。分かってあげる。 私はあなたのことを分かってあげてる。 あげる...