またあの2人が楽しそうに話している。
うるさい。
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騒がしい
隣の2人が騒がしい
一体に何がそんなに楽しいの
みんな死んじゃえばいいのに
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ちょっと困ったような微笑みで会釈してくれた。
かわいい子だった。
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宇々島 智くん。
笑顔が可愛い子だった。
私にも優しく微笑んでくれるやさしい子。
いつもひとりでいる。
私とおなじ。
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ある日、宇々島くんのノートを覗き見てみた。
猫が密室で七輪を焚いていたり
猫が激しい雷の中で凧揚げをしていたり
猫が真上に発砲して自由落下してきた弾丸に脳天を打ちぬかれていたり、
彼もまた、私と志を共にする人だったのだ。
あのとき目があったのは運命だったのだ。
そして。
その日から、宇々島くんと私は付き合うことになった。
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いつも私たちの間には空席が4つほど。
なんとなく決まっている定位置。
彼を感じられるこの半端な距離感が好き。
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最近、うーじと呼ぶことにしている。
うーじ。うーじ。
うーじ。うーじ。うーじ。うーじ。
……うーじ?
これは運命?
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うーじとは週に何回か会って、同じ空間で時間を共にする。
そう、小学生のとき彼と遊んでいる時以来。
この座席数個の距離感が、私と彼の間の金網。
この間に割ってくることは許されない。許しちゃいけない。
今度は大丈夫だよね。
入ってくるやつはいないよね。
うーじは食べられたりしないよね。
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そういえば、うーじとはまだ話したことがないな。
目はときどき合うんだけどね。
いつか、話せる日がくるのかな。
うーじのうは、うさぎのう。
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あの女がさいきん、うーじに馴れ馴れしい。
猫みたいに甲高い声のあの女。
なんなの?
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さいきん、あのうるさいバカ男と猫女と、うーじが行動を共にしている。
なんなの?
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彼らの話し声がきこえる。
3人で旅行に行ったらしい。
なんなの?
なんなの?
私を置いて?
うーじを勝手に連れていって?
ひとの恋人をなんだと思っているの?
あの、泥棒、猫、
咳が、止まらない、、