2008-10-19

約一分を言葉にしてみる

白い陶器に叩きつけられる黄色い尿を見下ろしながら俺はふと頭に浮かんだささやか鎮魂歌を口ずさんでいることに気づく。さわやかなRhymeは俺の喉仏から舌を伝って空気を震わせ小さな空間を満たすんだぜ、まるでありがたい御経のように。尿だってわかってる、これが最後だし、これでお別れだって。いつもならトボトボと地味な音をたてるおまえも今日ばかしは陶器共鳴してシンシンと高い金属音を思う存分この世界に響き渡らしているよ。

最後にぶるっと震えるとき俺はおまえとの別れを体でもって知る。とんと味わえ、末期の水じゃ、そう声をかけながらおまえ自身の黄色に染まった水をどこか遠くへと送り込む。と同時に銀色して新鮮でシャンとした水がセットされたのを確認する。ジッとチャックあげて流水に手を入れておまえの痕跡のひとかけらも残さないよう専念し、最後に乾いた布地にすべての水気を含ませる。その合間におまえのことを思って少しだけ歌う、

ビタミンB1 B6 B12!効能効果!ビタミンB1 B6 ビィジューニ!コーノゥコォクヮー!」電気がパチン、幕が閉じる。

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