思い込んでいた。
ある時に高熱を出し、それ以来自慰をすると薄いものしか出なくなった。
怖かった。
まだネットに親しむ時代ではなかった。
調べたくなかったし、もちろん医者になんかかからなかった。
生物の授業ですら涙が出た。
オレはオスとして失格なのだと思った。
人を好きになるべきだはない、とも思った。
…でも、オレは勝手だ。
女の子を好きになった。
日本人。
帰国してからも会ったし、その思いは増すばかりだった。
怖かった。
意思を告げるのが怖かった。
振られるのが怖かったし、
――その子ともし。
――万が一うまくいっても、その子を裏切ることになんじゃねえ?
言い訳かもしんね。
振られるの怖いし。
でも、真剣に考えてた。
他人のことを、そんなに考えたのはたぶん後にも先にもない。
有り得ねえ。
もう今となってはきっかけは思い出せないけど、
オレはその子に告白した。
自分の気持ち。
そして、自分の欠陥。
かっこ悪いけど、泣いた。
彼女は、ポカンとしていた。
付き合うことはOKだった。
でも、オレがなぜ泣いているのかはまったくわからないようだった。
そりゃあ、そうだ。
でも、オレにとってはそれくらい大きかった。
それを言うことが同情を買うようで悩んだし、
それを言わなければ彼女を貶めるようで悩んだ。
悩んだ。
でも、言っちまった。
言わざるをえなかった。
彼女は優しかったように思う。
そしてオレたちは付き合うようになった。