2008-08-16

「草食系男子恋愛学」を読んでいて

気になったり腑におちなかったりしたので書いてみる。

まず、自分はこの本に対しては基本的には好感を持ってる。

それは、モテるためではなく「あなたの好きな一人の女性から振り向いてもらえるようになるため」の本だ、という導入であったり、女性に「生身の人間」として接するというスタンスが本著の趣旨としてあることだったりする。題材から考えると、今までにないマジメな本じゃないか。

だけど残念ながら、これでは「好きな一人の女性」から振り向いてもらえないんじゃないかと思ったりもする。

違和感の原因はおそらく、女性を(さりげなく)肯定し、好意を(さりげなく)示し続け、受け止めるべしという、この本の根底の部分である。もっとも、女性を神格化するんじゃなくて、「生身の人間」として捉えるんだよ、とも言っているので、ダメな部分はダメって言っていいぞ!ということなのだが、それは本当、わずかな言及に留まってる。やはりこの本の基本は、「あなた=Yes」であり続け、マジメで優しい姿を見てもらうんだ!ということなんだろうと思う。

若干過去の話にはなるが、自分も女性に対してはまったくオクテなほうで、ここでいう「草食系男子」に限りなく近かったわけだが、こちらから好きになった女子にはことごとくコッパにされてきたような。その子らはどちらかというとどれもモテるタイプの子だったが(だから止めとけよ、という話じゃあるんだが)、男性側が真摯に接してくるのは半ば、当たり前とでもいうのかな、だから何、という感じなのだろうか、女性として見られることそのものにうんざりしているという風だった(意中の男なら話は別だろう)。さりげなくしているつもりでも正直そういう女性の前では徒労、アンテナの鋭敏さが半端ない。オクテである以上、上手に出来るわけないから「あなた」へのYesを前に出すことは、単に「ワン公」認定されてキックされるリスクを背負う行為でしかないように思う。結構な経験談。

この本は、草食系男子でも、基本的に相手のことを考えて振舞えばいい、背伸びなんかしなくていいんだと教えてくれる有難い本ではあるが(そしてそれを実践することはちょっとだけ意識すれば自然にできるだろう)、その良さを理解出来るのは、やはり草食系女子でしかないような気がする。必ずしもあなたの「好きな一人の女性」には当てはまらない(多分、多分にそう)ので、この本をトレスする気なら、上手くいかなくても怒ってはいけない(このへん、ちゃんと「失恋したときの心構え」という項目があるのは実に親切設計だ)。

恋愛に後向きな(になった)男子にこれまでにない優しいエールを贈り、勇気を与える書物としては良著と思うが、これでさらなる女性不信に陥るリスクもなきにしもあらずではないかと思った次第。決してDISってはないのよ。

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