今年の、というか2009年度入社向の採用活動(就職活動)もそろそろ終盤な感じの今日この頃ですね。うらやましいことに、最近は本当に売り手市場のようで、母校に帰っても後輩は皆一流企業から内定を得ていて泣けてきます。就職が厳しいと評された最後の年の卒業生としても、一流企業とはとても名乗れない会社の下っ端リクルータとしても。まあ私程度で就職が厳しいなどといえば、本当に氷河期の方々に殺されそうですが。
さてリクルータとして採用活動をする上で、色々と思うことがありました。最近の学生はやたら美味しいもの食べさせてもらってていいなあ、とか、高いもの食べさせてもらっていいなあ、とかではなく、例えば学生が思っている「設計」という仕事と、うちのようなエンジニアリング会社での実際の「設計」という仕事の違い、とかです。
声を大にして言いたいのは、「設計は製図ではない」ってことです。「設計の仕事を希望している理由は?」と問うて、「製図が好きだったんです」「CADが好きだったんです」と答える学生のなんと多いこと!設計には製図も含まれますが、決して「製図=設計」ではありません。むしろそこそこ大きな会社になればなるほど、設計屋と製図屋は分離しています。「設計=考えること」「製図=それを絵にすること」であり、大体価値として「考えること>絵にすること」とされています。製図単体では価値もない、とすら思われています。ゆえに、「考えられる人間は安い仕事(製図)などするな。考えることだけに専念しろ」と指導されるわけです(まあ設計者が考える仕事に没頭できているかというと甚だ疑問ですが。結局設計として行う仕事の大半は調整業務です。とはいえこれは別の話)。
図面を描く行為が好きな人は、エンジニアリング会社ではなく、設計を専門にやっている設計会社に行く方がいいでしょう(ちなみに製図だけ、ではないです)。設計専門ではなく総合的にやっているところに行った場合、図面を描いていられるのは入社当初の一、ニ年だけです。
志望理由を問われて「とりあえず」の回答として「製図が好きなんで><」を選んでるだけの人は、ちょっと改めた方がいいです。聞いた人間はやはり「じゃあCADオペになればいいじゃん」と思います。別にそれで落としたりはしませんが、製図が好きなのか?(狭義の)設計が好きなのか?両方やりたいのか?そのくらいは考えて、きちんとそれに沿った就職活動をしてほしいなあ、と思うわけです。
私は今の会社に満足しているのですが、それでもどちらかというと基本計画を立てる仕事よりはそこから詳細設計する仕事の方が向いていたなあ、と思います。製図を含む詳細設計のあたりが一番楽しいと、個人的には思っているのです。まあ私自身が「製図好き><」で設計の職を選んだ口なので偉そうなことはいえないわけですが。でもちゃんと就職したら製図ができなくなるだろう、というのは認識していました。その認識がないと、本人も、会社も、不幸ではないかなーと思います。
製図->プログラミング とかに置き換えて読んでみるとSE業界でも同様だったりする。 いろいろ考えてみると面白い。
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