HateLabo::AnonymousDiary Special Interview
「楽やから。それ以外にはないね」。土木関係の会社で事務職を務める私の彼女に、この仕事を選んだ理由を尋ねるとそんな答えが返ってきた。年度末だけは公的機関の発注工事の入札申請に忙しいとのことだが、普段はほとんどやることがないという。給料でもなく、将来性でもなく、立地でもなく、ただ「楽」ーー。その一点のみを重視して就職先を選んだ彼女が語る、事務職の日常とその本質に迫った。
彼女の普段の業務は、宅急便の手配や書類の作成、電話応対などだそうだ。だがそんなものはそれほど時間を要するものではない。仕事がないときは何をしているのだろう。「“発狂小町”見てんねん。仕事は……その合間にしてるって感じ」。もちろんただ読むだけではすぐに終わってしまう。そこで彼女はタイピングの練習も兼ねて“発狂小町”全文を入力しているそうだ。「タイピング楽しいで。仕事してるっぽく見えるし。でも、そんないっぱい文字打つ仕事なんかないから、怪しまれんように休み休みやってる」と彼女。それが終わるとどうするのだろう? 「清書する」。清書? 「事務って字きれいやないとアカンやん。 そやからな、“発狂小町”を紙に書き起こすねん」。一応仕事は意識しているとのことだ。「こないだ注文したボールペンの芯がサイズ間違っててめっちゃ余ってて、もったいないから芯だけで清書してんねん」。それはさすがに疲れるのでは?と聞くと彼女はうなずいた。そこで「最近は輪ゴムをいっぱいボールペンの芯に巻いてな。持ちやすくしてる」と自慢げに教えてくれた。業務時間の八割方は、“発狂小町”に割いているという彼女。5月13日は更新がなかったので、暇で暇で仕方なく、発言小町まで出張したそうだ。
話を聞いていると次第に不安になってきた。上司とはタメ口(!)で話しているというし、仕事もほとんどしていない。薄給とはいえ、クビにはならないのだろうか。「実際仕事ないねんけどな。でもさすがにこれはアカンかなーって思ってんウチも。そやからな、仕事をもっと丁寧に時間をかけてやることにしてみた」とのこと。なるほど。「書類もじっくり丁寧に書いたりー、電卓もゆ〜っくり押したりー。毎日試行錯誤やねんで、ほんま」。電卓をゆっくりと押すことは丁寧ではなく、ただの遅延行為ではないかとツッコミたいところだが、そこはぐっとこらえて、最後の質問を彼女に投げかけた。
あなたにとって、仕事とは?
「暇つぶし」。
世の中には、さまざまな仕事がある。私たちは、やりがいや給料、将来性で就職先を選ぶことが多い。だが、世の中には全く異なる基準で仕事を選ぶ人間がいるということ、そしてそこにもまた「ヒマ」という労苦が伴っていることを、私たちは知っておいてもいいのかもしれない。このインタビュ-が、多くの人の目に触れることを願い、ダイアリーではなく増田に記す。
(聞き手・増田)
社内ニートって、発狂小町を写筆するような、困難な職務のことだと思ってたんだけど。
だよな。元増田は明らかに働いてるし。 どこが会社から搾取するノウハウなんだよ。