みたいに一般人の常識に反したトンデモ判決とされるものがでると裁判官は非常識だとか批判がでるわけだが、実際のところどうなのか?そもそも判決が民意に従うべきかという大問題があるが、それはおいておく。
さてトンデモ判決はどのくらいの割合で出ているのだろうか?平成18年司法統計の「刑事事件等の訴訟及びその他別新受,既済,未済人員 全裁判所及び最高,全高等・地方・簡易裁判所」によれば、刑事訴訟は793707件開始され、過去分も合わせてそのうち799044件の判決が下されている。トンデモ判決の件数はわからないが、一般常識では考えられないような「トンデモ判決」は毎日報道されてないので、「トンデモ」判決は最大限に見積もっても一日一件だろう。そうすると年間365件となる。とするとトンデモ判決の割合は
365 / 799044 = 0.000456... = 約 0.045%
となる。この数値が低いのは判決が問題とならないような簡易裁判所の数値も含まれているからだろう。簡易裁判所では675706件受理され、678745件判決が下されている。従って簡易裁判所以外では120299件の判決が下されている。これに基づくと
365 / 120299 = 0.003034... = 約 0.303%
となり、これでもまだ低い。仮に仮定の3倍、すなわち一日あたり3件の「トンデモ判決」が下されているとしても「トンデモ判決」の割合は1%にも満たない。「トンデモ判決が多く、裁判官は常識がない」というのは典型的な代表性バイアスであると考えられる。
そもそも裁判官、検察官の数が少ないことも指摘できる。「裁判官,検察官,弁護士の女性比率(全国)」によれば平成18年の裁判官数、検察官数はそれぞれ3341人、2479人である。検察官が一人当たり年間担当するのは
120299 / 2479 = 48.52..
より48件である。一件当たり費やせる日数は
365 / 48 = 7.6041...
より一週間である。実際には休みを考慮しなければならないので、これより短いと考えられる。従って仮に「トンデモ判決」が多いとしても、その原因として疑うべきは裁判官の常識ではなく、検察官の少なさだろう。
だいたい司法試験を通ったエリート、言い換えれば努力家なんだから、多少例外はいても常識はある人間の割合は普通の人間の集団に比べれば高いだろう。
一般常識では考えられないような「トンデモ判決」は毎日報道されてないので、「トンデモ」判決は最大限に見積もっても一日一件だろう。 ここの仮定が不適切なので後の推定は全部...
民意に反するトンデモ判決が出るのは検察官のせいというのはちょっと早計なような気がします。 検察官はよくやってくれていると思います。 今回だって、危険運転致死罪を適用して25...