かっと目を開き一閃。
皮より引き抜かれたバナナが花田の口腔に突き込まれた。
「負ける」
そんな悲しみと絶望にもにた感情が体中から力を奪い取って行く。
手にしたナイフとフォークがからんと音を立てて地面に落ちた。
「弱いな。」
目の前のそれはもはや達人の目をしていなかった。
人を見下した歪んだ笑顔が浮かび、口元がニヤリと緩む。
額の影がより深く顔を包んでいる。
目の前のそれ、、、増田はゆっくりと手を引き抜くと、そこにもはやバナナはなかった。
「う、うまい、、、」
協賛:増田商事バナナ事業部
ツイートシェア