大事な会議の前にはみんなオナニーをしてから参加した方が良いと思う。
そのくらい男は射精した瞬間に、思考はいつも以上に雑念の消えたクリアなものとなり、
普段の自分とは思えないくらい悠然と物事を見つめられるようになる。
その思慮深い頭の働きは当然オナニーという行為にも向けられ、非生産的で不毛で不健全な時間の浪費に深い反省をする。
男にとって性欲と後悔は表裏一体のもので、切っても切れない関係にある。
それくらい性欲は思考力・理解力・判断力を落としてしまい、故に男は愚かな行為に走ってしまう。
今でも思い出す、あれは輝かしき青春の日々。私は若く、美しかった。
初めてのバイトで出会ったNさんは私に優しくしてくれた。
年恰好は30代前半の、明るく親切な女性で、年が離れてるのを感じないくらい話が合った。
Nさんはバイト終わりに、よく食事に誘ってくれた。
近くのレストランは24時間営業で、皿の上に食べ物が無くなるまでの会話は、とても楽しく癒された時間だった。
第三者には仲のいい親子と認識されていたかもしれない。私は彼女との関係を「年齢差のある友人」と認識していた。
だが、Nさんの認識は違っていた。テーブルを挟んだ向かい側に座っているはずのNさんが、いつの間にか私の真横にいた。
Nさんは私の手を握ると、思わせぶりな瞳で私を見つめた。
「ねぇ、コップに余った氷は食べちゃう方?」「う、うん。そうだけど……」「じゃあ、私の氷も食べていいよ」
Nさんはコップを取って氷を口に含む。唇と唇が重なり、やがて舌が絡まった。
二人を繋ぐ氷が溶けるのは、一瞬にも永遠にも感じられた。
Nさんの両腕が私の身体を包み、一定に脈打つNさんの心臓音が、耳に届いた。
「場所変えようか」その時、私の世界の中心には、Nさんしかいなかった。
ところで、1960年代にアメリカである実験が行われたのはご存知だろうか。男性の脳内の数箇所に電極を埋め込み、それぞれの場所を刺激するスイッチを男性に持たせ、一つ一つ押させたという。その結果、男性はそのうちの一つのボタンの刺激にはまり込んで連打し、快楽に溺れた。そのボタンが刺激した場所は、性的な快感を司る箇所だったのだ。
この男性同様、その時の私は思考を遮断し、何も考えずにひたすら快楽のボタンを連打するようなものだった。
身体が完全に性欲に支配されていた。Nさんとの性的快感を味わい切って、Nさんと目を合わせた瞬間、崩れ落ちるような気分になった。
そこにいたのは天使ではなく、どこにでもいる年増の女性で、色鮮やかな天国に見えていた室内は、薄暗い地獄だった。
Nさんは顔にくっきりとした皺を作って微笑み、私を抱き寄せて頬にキスをした。
ねっとりとした唾液の感触、生暖かい鼻息、安い香水の匂い。自分の愚かな行いに情けなくなり、逃げたくなった。
その後も、後悔することを知っていながら、何度かNさんの誘いに乗ってしまい、その度に落ち込んだ。
性欲は恐ろしい。一度捕らえられると、逃れることは絶対にできない。
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その手の後悔は、20代前半相手でも、たとえ10代半ばが相手でもやってくる。 もちろんテクニカルに逃げることもできるし、自分の性欲に責任を取ることもできるんだけど、 いずれ...
いわゆるピンクな接待ってのもある意味意味があるってことなのか。