スカートを履いた男性とかいたし、道端でラジコンカーを走らせてたり、こっそり芸能人とか来てたらしいけど誰も反応しない。裏には電子街があって、表には萌え系の本屋やAVショップがあって駅の近くには家電量販店があって、わりとどこも競争せず、なんのための街だとかそういうことを主張することはなかった。
観光客が押し寄せてきて、道を歩いてるだけで笑われる人なんかもいたけど。
「昔のまんまだー! 安心したー」と電子街の店にやって来ちゃあにこにこと笑ってくれる人もいた、中には道歩いてるだけで水商売の女みたいに見るようなのもいたけど、メイド店とか聞く人はカップルだったりお歳が上のご夫婦だったり、若い兄ちゃんは場所を聞いたあと、もごもごっと口ごもって言い訳してたりした。「よく聞かれますよ」と言ってあげたがちょっと失敗した。
やっぱりなんか混沌みたいになって、あまりなんの街という気がしなかった。
メイドさんたちの顔のレベルが高くなったということは歴然とした変化か。
別にそれ自体が悪いわけじゃないけど正直あんまり増殖して欲しくない。
今はそこに行かなくなったんだが、まあ今もやっぱりどっちつかずの街だと思う。
やっぱりちょっとずつ、淘汰がどうだという話が出てくるんだけど、なんとなくそれも長いうちにうやむやになって流れてしまうんでないかと思ってる。
今はまた、人も減って、余所でだと笑われる人らもまた戻って来てるだろうか。
紙袋いっぱい下げてたり、珍妙な格好してたり、ただ女が増えちゃったのだけはちょっと減りにくいかもしれないけど。それも街の一部として織り込まれて、どうしても駄目なら棲み分けしたりするんだろうかね。