2007-05-22

南の島の爺婆の話

子供は親のすねをかじる。

だらしのない子供は、大きくなってもかじりつづける。

気合の入った子供は、皮膚を食い破り、筋を喰い、骨を割って骨髄まですする。

南の島は不景気仕事がないから、働き盛りの子供達はみんな、本土に渡って仕事を探す。

残念ながら島の人達はおおらかで、大阪あたりの殺伐とした空気の中では、やっぱり競争に勝てなくて。

南の島では、戦争子供を亡くした親御さんには、毎年終戦記念日になると見舞金が配られる。

戦争で亡くした子供の人数あたり、大体100万円前後。数人いるとちょっとした金額。

終戦記念日。本土に渡った子供達は、金銭的に切羽詰って、親のもとに送られてくるお金のことを思い出す。

見舞金は生活費。爺婆は、送られたお金一生懸命家の中に隠す。

夏の夜中。本土から「取り立て」にやってきた子供達は、爺婆を路上に放り出して、

家を荒らして通帳を探す。

放り出された爺婆は、泣きながら路上で這いずり回るだけ。

街灯も少ない島だから、この時期は救急車が夜間巡回して、泥まみれの年寄り病院に集めてきた。

あの頃道端這いずってた爺婆もいいかげん亡くなっているんだろうし、子供たちが経済的に大成功するとも思えない。

たぶんみんな島に帰って、テレビによく出てくる「快活な島のおじさん」に戻って、

歌でもうたいながらお酒を飲んだりしているんだろう。

「やっぱり島が一番だよ」なんて笑うあの人達の中には、きっと鬼が混じってる。

  • 南の島の過激な話と言えば、有名なのは選挙だな。 選挙のたびに金ばら蒔かれるのは日常茶飯事で、地方選挙ともなれば地盤で割れてヤクザの抗争並に激しく争い合う。 違う候補に寝返...

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