2007-03-05

 昨日、彼女に初めて会った。

彼女とはメールやりとりしていたが、会うのはこれが最初だった。

駅の前で、赤い眼鏡を掛けてる女の子だよ、彼女はそう言った。

 その駅には、約束の20分前に着いた。着いたとたんに緊張し始めた。怖かった。

彼女に強く惹かれていると同時に、一度彼女を見てしまったら、この思いは何処かへ消えてしまうのだろう、

そんな確信を持っていた。彼女が駅に着いたのに気が付いた。悪い予感が当たったな、そう考えながら声を掛けるか、迷った。

 結局声を掛け、今日はいい天気だね、などとどうでもいい世間話をした。気まずい空気が漂うのがいやで、必死だった。

二人で落ち着ける場所に移動した。心は落ち着かなかった。沈黙が立ち込めるのが嫌で、ひたすら話した。普段話さないような、心の奥に秘めていた話もした。恋話もした。

 「好きだよ」不意に僕の口からそんな言葉が出た。全く恋愛感情も湧かないのに、彼女の手を握って、瞳を見つめて。彼女は必死に駄目な理由を説明していた。友達から恋愛関係に移って、何時か終わるのが怖い。男と女という枠に嵌められたくない。そんなに燃えるような恋愛感情が湧かない。そんな言葉彼女から出るたびに、僕はゲームを攻略しているかのような気軽さで彼女を優しく説き伏せた。彼女は遂に「Yes」と答えた。そう答えた彼女の目には涙が溜まっていた。そして、しばらくして、別れの時間が来た。

 僕は駅の前で再び彼女の手を握り、「また会おうね」と言った。そして改札を抜けた後、どうしようもなく塞ぎ込んでしまった。何でこんな事言ってしまったのだろうか。彼女から借りた本に目を通してみた。内容が頭に入ってこなかった。物凄い閉塞感の中、彼女に「今日は楽しかったよ、また会おうね」とメールを送った。彼女から「私もだよ」と返ってきた。僕はこのメールを持て余している。

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