2007-02-14

日本人は休むということを知らない

日本では、活動休止→解散と至ったバンドグループが結構多い。海外のミュージシャンに視点を移せば、ナイン・インチ・ネイルズのようにアルバム発売ペースが5年に一枚くらいのバンドグループも結構あるのに、である。まあ、洋楽邦楽では音楽界における事情がいろいろ違うことは事実なのだが、「止まったら死んでいるようなものだ」、という印象が日本では強いことに対する、ひとつの証拠になりそうなケースである。

別のケースを紹介しよう。西洋の人々は、長期休暇のたびによく旅行する。これは裕福な人々の間における余暇の過ごし方なのだが、日本人は裕福であっても旅行をする暇すらないような状況にある人が多い。またコチラの記事によるとアメリカでは55歳までに生涯暮らせるだけのお金を稼いでしまい、それ以後は働かずすごす人も多いようである。しかし、日本では60歳以上でも働きたいと思っている人が多いし、そもそも、「お金持ちなら遊んで暮らしてもいい」という考え方を許さない国民性が、日本人には少なからず存在しているように見える。

これらをまとめてみると、日本人は他の国の人々と比べて休むということを知らないのではないか、と思えてくる。本当のところ、このような国民性高度経済成長期を支え、また、折れることのない不屈の侍魂武士道精神)を作り上げ、日本が世界において高い評価を勝ち取ったことはまぎれもない事実であろう。しかし、このような国民性は、現在悪い方向にも働いている。過労死である。

実のところ、上で述べた国民性は、「初心忘るるべからず」の精神に基づいているように思える。つまり、社会仕事に慣れてきて、会社内でも昇進が約束されるようになり要領のいい生き方を会得してからも、不器用だった頃の自分のようにたゆまぬ忍耐力と壊れることのない向上心をもって仕事に励め、ということである。そして、このような国民性高度経済成長期において、年功序列制度と互いに助け合う形で日本の発展に貢献したのである。だから私からすれば、「勤勉な日本人」というレッテルは今の時代マイナス意味合いも強いように思えるし、むしろお偉いさんが若い人などに強要している概念であるようにすら思えてならない。

最近、原則年中無休の店が当たり前のようになっている。それに伴い、社会人もだんだん年中無休体制に移行させられているように思える。これは「失われた10年」の生み出した悲劇なのかもしれないが、もうちょっとのんびりした生活を送れる環境労働者に整わないと、過労死がもっと増え、不幸な世の中へと変わっていくのではないか、と心配でならない。日本人は、もっと休むということを知るべきなのではないだろうか?もっとゆとりを持って働くためにも、もっと人生を楽しむためにも。

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