「う゛っ!」
マフラーの尾が引かれ、首を絞められる。
「こら、みぃこ!」
校内の誰もが恐れる俺(目つきが悪いのか、それとも表情の変化に乏しいせいなのか。いつでもどこでも愚民共は、己の矮小さが露呈することを恐れ、些細な差異でさえ排斥しようとする)に、こんなことをするのはあいつしかいない。
「えへへぇー」
にへらと笑うその顔を目の当たりにしてなお、怒り続けられる人間がいるだろうか、いやいない(反語)。
「えーいっ!」
俺の胸に飛び込むみぃこ。
「すりすり」
すりすりするみぃこ。
「もふもふ」
もふもふするみぃこ。
「わふわふ」
わふわふすいい加減にせんかい!
「なんだよ一体」
「しゃーねーだろ、俺だってやることあんだから」
「みぃよりそっちの方が大事なんだ。みぃのことなんてどーでもいいんだ」
「んなこと言ってないだろ!」
「じゃあキスして!」
目を閉じ、背伸びをして唇を突き出すみぃこ。
この状況で拒め(ry
「んっ」
「……もっとぉ」
「何がもっとなんだ?」
白々しく聞いてみたりする。
「もっとキスしてよ、お兄ちゃん!」