2007-02-09

『みぃこ』

「う゛っ!」

 マフラーの尾が引かれ、首を絞められる。

「こら、みぃこ!」

 校内の誰もが恐れる俺(目つきが悪いのか、それとも表情の変化に乏しいせいなのか。いつでもどこでも愚民共は、己の矮小さが露呈することを恐れ、些細な差異でさえ排斥しようとする)に、こんなことをするのはあいつしかいない。

「えへへぇー」

 にへらと笑うその顔を目の当たりにしてなお、怒り続けられる人間がいるだろうか、いやいない(反語)。

「えーいっ!」

 俺の胸に飛び込むみぃこ。

「すりすり」

 すりすりするみぃこ。

「もふもふ」

 もふもふするみぃこ。

「わふわふ」

 わふわふすいい加減にせんかい!

「なんだよ一体」

「だてー今日は昼休み会えなかたーよ」

「しゃーねーだろ、俺だってやることあんだから」

「みぃよりそっちの方が大事なんだ。みぃのことなんてどーでもいいんだ」

「んなこと言ってないだろ!」

「じゃあキスして!」

 目を閉じ、背伸びをして唇を突き出すみぃこ。

 この状況で拒め(ry

「んっ」

「……もっとぉ」

「何がもっとなんだ?」

 白々しく聞いてみたりする。

「もっとキスしてよ、お兄ちゃん!」

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