あるところに、小さな男の子がいました。男の子は、人よりちょっと成績が良くて、運動もできました。
男の子は、学校に行くのが面倒でした。「何でできるとわかってる問題を解かなきゃいけないの?」教師たちは、ただやれとしか言いませんでした。
男の子は少し大きくなりました。学校で習う勉強はどれも難しいと感じませんでした。男の子は、自分は何でもできるんだ、という気になりました。
男の子はまた少し、大きくなりました。それでもやっぱり、他の男の子と比べると小さいままでした。男の子は強くなりたいと思い、運動にはげみました。そして、ほとんど勉強をしなくなりました。
男の子は、少しずつたくましい体になっていきました。それとひきかえに、勉強についていけなくなりました。でも、やっぱり他の男の子と比べると小さいままでした。
男の子は、学校の勉強についていくのをあきらめました。それとひきかえに、運動でそこそこの結果を残しました。
男の子は、働くことにしました。まわりの男の子たちも、みんな働いていくようです。
男の子は、小さい会社に入りました。はやりのIT関係とかいうような会社です。みんな必死に働いています。
男の子は、技術をみにつける必要がありました。でも、本を読んでも、先輩に教えてもらっても、さっぱりわかりません。
男の子は思いました。「むかしは勉強できたんだけどなぁ。ぜんぜんわかんないや」
男の子は苦しみました。「なんで『できる』ようになれないんだろう」
やがて、男の子は認めました。「ぼくはできない子なんだ。でも、いつからそうなったんだろう」
男の子は、会社の怖い上司や先輩、意地悪なお客さんと戦わなければいけません。「負けるかもしれない。でも戦わなくっちゃ」
男の子は負け続けました。いいように上司や先輩、意地悪なお客さんに言いくるめられてしまいます。連戦連敗です。「だめだ。ぜんぜん勝てないや」
やがて男の子は戦うことに疲れはじめてきました。「どうしよう。ぜんぜん勝てないよ」
男の子は考えました。「どうしたら勝てるようになるんだろう」
男の子は思いました。「そうだった。ぼくには何も無いや。そりゃ勝てないよ」
男の子は言いました。「みんな何か持ってるんだ。強いやつとか、役立つやつとか、早いやつとか」
男の子はつぶやきました。「ぼくも何か探さないと」
男の子はそうつぶやくと、少し考えた後、何かをさがしに行きました。
(つづかない)
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