通称「ツマル先生」の話はいつもつまらなかった。
だけどツマル先生の授業は大人気だった。
なにかと騒ぐ男子も黙って聞く。目を輝かせて話に聞き入り、ノートを書いている。
ちょっとしたジョークにゲラゲラ笑う。ジョークじゃないとこでも吹き出す。
授業が終わったら5分休憩はいつもツマル先生の話題でもちきりだった。
「18回! 18回!」「違うって、20回だったって!」
ツマル先生は「つまりこれが」「だからつまり」「えー、つまり」とやたらつまりたがる先生なのだ。
今日も男子はツマル先生の口から出る「つまり」の数を凄い集中力で数えるのだった。
先生、「今年の1年生は目の輝きが違う」の正体はこれでした。ごめんなさい。