2010-06-20

殺せばよかった

私には彼氏がいた。優しくて繊細で気弱な彼氏だった。私のことを愛してくれた。

でも、そのときの私は、疲れていた。両親が事故で死んでしまったり

就職で失敗したりと、いろいろと大変だったからだ。頼れる人が欲しい時期だった。

だから、私は彼氏に「別れよう」と告げた。でも、彼氏は首を縦には振らなかった。

彼氏は泣いた。叫んだ。今まで聞いたことないような声で怒鳴った。

私は、こんなときに強引さを出して欲しいんじゃないのに、なんて思った。

そんな彼に嫌気が差して、「さよなら」と告げて家を飛び出そうとした。

そのとき、彼氏が台所に飛び込むのが見えた。もしかして、そう思った私は、走った。

そのとき、声が聞こえた。「別れるなら死ぬ」。その声に驚いて戻ると、

彼氏包丁自分の首もとにつきたてていた。「やめて!」私は叫んだ。

こんな最低な人だとは思わなかった。大嫌いになった。

こんな人を彼氏に選んだ自分も大嫌いになった。

彼氏を殺すか、自分を殺して彼氏とやり直すか。その二択。

疲れていた私は、もう、何もかもどうでもよくなってしまった。

「ごめんなさい、私が悪かったの。やりなおしましょう」私は、自分を殺した。

もう自分なんてどうでも良い。心なんて捨てよう。私は、自分を殺したんだ。

その日から、私の性格はがらりと変わった。すべて損得で動くようになった。

親友だって簡単に裏切った。金のためにいくらでも家族を利用した。

でも心は痛まなかった。だって、自分はもう死んでいるから。

いくらでも体を売った。体で人を騙したりもした。

自分はもう死んでいるんだから、これは死姦ね、なんてジョークを考えた。

そこまでやってみせると、簡単にお金なんてたまった。

私と彼氏は、私のお金で生活するようになった。そんな生活が続いた。

ある日、彼氏が首を切って死んでいた。あの時、脅しに使った包丁でだ。

遺書には、脅して引き止めたこと、自分があまり稼げていなかったことへの謝罪が書いてあった。

彼なりにプレッシャーや後悔があったのだろう。気弱でそれを抱えていたのだろう。

私が彼氏の死を認識して最初に思ったことは、

「なんだ、結局死ぬなら、あの時私は自分を殺さずに彼氏を殺しといたほうが、『得』だったじゃん」

ということだ。これを思い、ああ、自分は本当に心を捨ててしまったんだなあと感じ、

自分を殺したくなった。でも、殺せなかった。だって、自分はすでに死んでいたから。

  • よくあるよね、「本当の自分」を切り離して理想じゃない現状を受け入れるってこと。 でもそういう戦略をとらせたのも自分なんだよね、現に今まで生きてこれてるでしょ。 状況がよく...

  • そんな自分がおかしいと思って増田に書き込む謎のメタ視点。 君は誰だ?

  • 割と好きな書き方。 もうちょっと添削すれば、そこそこ良いメン記事になる。

  • 文の重要部分が繋がってなくてムカムカ来る小説だなこれ 「ごめんなさい、私が悪かったの。やりなおしましょう」私は、自分を殺した。 もう自分なんてどうでも良い。心なんて捨て...

  • http://anond.hatelabo.jp/20140410232515 http://anond.hatelabo.jp/20100620184624 先駆者

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