2010-05-29

祖母が死んだ

祖母が死んだ。

突然のことだった。

私はその日、2徹目で仕事をしていた。

実家の母から電話があり、祖母が急に死んだと。

元気だったのに突然だったと言うその声は少し震えていた。

告別式葬式、焼き場、精進落とし、初七日、全部まとめてやるから

2日くらい実家へ帰って来いと言われ最初に私が考えたのは

「2日も仕事しなかったら、原稿落ちちゃう」ということだった。

私は雇われライターデザイナーのようなものをしている。

自分でライティングをし、デザインをし、データを突っ込むところまでやるのだ。

間が悪いことに、入稿日は祖母が焼かれる日と同じ日だった。

祖母とは20年間一緒に暮らした。

私が家を出るその日まで、母より長く一緒に過ごした人だった。

でも、でも、でも、原稿、落ちたら、落ちたら、落ちたら?

…襲いくる恐怖に私は3徹目で対応することにした。

外部のデザイナーヘルプも出した。

夜9時から朝9時までで原稿デザインを4枚やった。

上出来だ。でもまだ終わらない。

実家告別式に帰るまで後24時間しかない。

寝たら最後だろう。

ぼんやりした頭で、母に電話をした。

どこかで、そんなに大変なら帰らなくていいのよといって欲しくて。

そんなわけなかった。

「そんなに近い親族なんだから、お焼香だけの周りの人とは違うでしょう!」

「声が小さくて聞こえないのよ!何を言ってるの!?あなたは!」

(3徹目の人間にハキハキした返事を求められても困る)

母のヒステリックな…姑とはいえ、身近な人間が死んだのだから当然だろうが…

電話を聞きながら、ああ、もう、どうして、どうしてこう、と

まとまりのない単語ばかりが頭の中を巡っていた。

24時間で私は実家に帰らなければならないらしい。

原稿用紙20枚ライティングをして、

そして、そして、寝たら…3徹目の頭から脱却するために寝たら…

私は祖母の死をそのときはじめて悲しめるのだろうか?

  • 麻痺してるみたいだから言うけど、身近な、文字通り家族の葬式も手伝えないってさ、なんのためにそんな仕事しているんだい?

  • 上の日記をかいたものです。 葬式に出てきました。 悲しかったけど、でも、仕事のことは頭から離れなかったな。 臨終ならば駆けつけるけれど、 すでに死んでしまい終わってしまっ...

    • 葬式は生き残っている人のためのもの。 誰も悲しんでいないようなら出る必要はないが、母親は誰かに側にいてほしそうだな。

    • 原稿は落とさずに済んだのかな? お疲れさま。 これって、葬式自体に価値を感じれないのかな。それとも、他の誰かの葬式だったら、仕事なんか放って出るのかな。そのどちらかで変...

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