私が20年ほど前まで勤めていた会社でのことである。 誰もが知る大会社であり、社名を聞けば「ああ、あの会社か」とすぐにわかってもらえるあの会社である。 「社員に『続き番号』を付けよう」という提案があった。 様々な管理が楽になるということで、総務部の一員としては強く賛成した。 そのおかげで実作業を全面的にまかされてしまい、楽どころではなかったのだが。
ところが、私はこれを「鈴木番号」と聞き違えていたのだ。 社員を何万人とかかえる大企業のことであるから、結構な数の鈴木がいたのだ。 給料計算やら何やらで取り違えることはしょっちゅうで、個人的にどうにかしたいと考えていたことからそう思いこんでしまったのだろう。
私は全ての鈴木さんに番号を付ける作業を実施した。 「鈴木1号」「鈴木2号」と番号をつけていき、結局は「鈴木245号」までようやく作業が完了したのは一月後のことだ。 社員証や伝票、帳表の類の全てに項目を追加することはもちろん、データベースのツジツマあわせはずいぶん手間のかかる作業だった。
完了してから上司に報告するとひどく叱られた。 当時の私は何をそんなに怒っているのかわからず唖然としてしまったことを覚えている。 今になって思うと、ずいぶんと馬鹿なミスだった。
新手の釣りか?
××社の佐藤さんという方から、会社に電話がかかってきたことがある。 彼女は開口一番こう言ったのだった。 「そちらの佐藤さんは…あの、そちらに佐藤さんは何人いらっしゃいます...
良い佐藤さんだ。自分の姓を分かってて素晴らしい。 うちの部署では、佐藤さんが隣同士の座席に座ってる。隣同士なので電話も一緒。 後輩の方の佐藤は、部署内では下の名前で呼ば...
佐藤と鈴木の量シンジケートはガチ。 おや、誰か来たようだ・・・