本当の意味でフられたのはもうずっと前なんだけれど、その後も「ずっと友達でいよう」なんていう、ありきたりの展開を僕は受け入れて、フられた後も、ふたりで水族館に行ったり、遊園地に行ったり、ご飯を食べに行ったりしていて
僕と彼女とは住んでいる場所が離れていて(直線距離で300kmくらいだ)、それでもそれなりのペースで会って遊んだりしていた
お互い社会人とはいえ、お金がありあまっているわけでもなし、会うことには結構な「重さ」みたいなものを感じていた。少なくとも僕は
加えて、僕と彼女の休みが偶然一致することは稀だ。会おうとしたら、会うために仕事の予定を調整しなければ会えなかった。だから二人で会うときは、前々から予定をあわせて、どこに行こうか決めて……まるでデートの予定をたてるようなだな、と思っていた(というか僕は予定を立てるとき、デートコースを参考として予定を提案していた)
それらの負担を負ってまで会いに行くことで、彼女の気を惹けるんじゃないかと期待を持っていたし、その負担を負ってまで自分に会いに来てくれる彼女が、多少なりとも自分に(特別な)好意を抱いているんじゃないかと思っていた
でも、そんなことは全く無かったのだ
いや、全くでもなかったかもしれない
少なくとも、間違いなく、彼女は僕に好意を持っている
あくまでも「友人として」
「友人に対しての好意」もいろいろとレベルがあるのだろう
一度フった異性に対して、(多少の気まずさもあるだろうに)会ってくれ、金銭的時間的負担を負ってまで遊んでくれる。そんな彼女にこれ以上望むことがあるのだろうか?
よくわからない
たぶんここになかったのは「付き合っている」という約束事と「セックス」くらいのものだろう
でも、僕はたぶん、そういう約束事をこそ欲しかったのだ
少しだけ、彼女のことを悪く書く
ズルズルと「友達」としての付き合いをしている時、僕はずっと「キープされている」というような印象を持っていた
僕が最初に告白したとき、付き合うこともありうるようなことを匂わせておいて、その後はずっと遊び以上デート未満な付き合いを繰り返す
僕の好意は十分にわかっているだろうに、こんなデートと言っても差し支え無いような会いかたをしてくれるなんて、僕に気が無いならひどいな、とか、ズルイな、とか、もっとはっきりそういう会い方を拒絶してくれればいいのにな、とか、そんな割り切れない思いを僕はずっと抱いていた
もちろん、彼女が「デートみたい」だなんて全く思ってもいないことを、僕が「デートみたい」だと思いこんでいて、勝手に一喜一憂していたのがいけないのだろう
彼女に悪い点があるとすれば、そういう誤解を許す余地があったことくらいだ
そんなこと、責められるわけも無い
彼女のことが好きだった
好きだったから告白して、ダメでもその後も関係を維持したいと思った
それでも、宙吊りの状態は正直辛かった。だからもう一度だけ、どう思っているのか確認したいと思っていた……
結果は既に書いた通り
正直に言えば、そんなことはずっと前からわかっていたことだし、彼女の気が僕に向くなんてありえないと思っていた
それでも彼女が好きだったから、自分の作った期待にみっともなくすがりつきたかったのだ
彼女の特別になりたかった
彼女の特別になりたかった
彼女の特別になりたかった……
たぶん、今度こそ、彼女とは「友達」になれるんだろう
形にこだわりすぎだろ。相手のことそんなに好きじゃないのに 自分でそう思い込んでいたんだろ。 あと押しつけがましいよおまえ。