僕は瓜実条虫。しがない虫だ。
いつもは猫のお腹の中で、ぬくぬくと暮らしている。
ある日、だらだらと眠っていたら、流れ流され、お尻の穴からはみ出してしまった。
そしてそこで顔をあげると、そこには猫の飼い主?らしき男性がいた。
とても素敵な笑顔・・・。僕は一瞬で恋に落ちた。
なんとかして彼のお腹の中に入りたい。そう思った。
でもどうすればいいだろう・・・?
解決法は直ぐに見つかった。
彼はいつもご飯に白ゴマをかけて食べている。
僕はゴマのフリをして、彼に租借されよう。
きっと噛まれずに飲み込まれて、彼の中に入っていけるさ。
早速今夜決行だ!
しかし現実とは残酷なもので、僕の試みは無残な失敗に終わった。
苦労の末に無事ご飯の上に乗ることに成功し、
彼の操る箸によって、ご飯と一緒に口内に運ばれた。
しかし次の瞬間、彼の噎せ返った咆吼と伴に、米粒と一緒に吐き出されてしまった。
僕は空中を舞いながら、一瞬で事情を理解した。
部屋に散らばる米粒、そして白ゴマ。
いや、白ゴマに見えた無数の瓜実条虫たち・・・。
あんな素敵な彼だもの。好きになるのが僕だけな筈がなかった。
あの時バックゲートから彼を見あげた僕、そして大勢の仲間たち。
みんな同じ恋をして、同じ事を考えた。
白ゴマの中に1匹だけならわからない筈だったけど、
全てが瓜実条虫だったら、白ゴマの味の筈もなく、
それはただ瓜実条虫の味しかしないよな・・・。
僕はこの次はきっと白ゴマに生まれ変わろう。
そう思った。きっとなれるよね。
ていうか僕は昆虫じゃないよね。
気づいたけど虫だからいいやと思った。
思うことにした。
http://anond.hatelabo.jp/20080222091118